気になる病気と症状辞典

大腿つけ根の内側部分に腸の一部が脱出する鼠径ヘルニア

腹部内臓の一部が腹膜に覆われたまま、腹壁の間から飛び出すことをヘルニアといいます。ヘルニアのうちで最も多いのが、鼠径部(大腿つけ根の内側部分)に腸の一部が脱出する鼠径ヘルニア(脱腸)です。小児に多い先天性のものと、成人後にみられる後天性のものがあります。
この病気は自然に治ることはなく、悪化すると腸閉塞(イレウス)腹膜炎を招くこともあります。

鼠径ヘルニア(黒い矢印の部分)

鼠径ヘルニアの症状
鼠径部に膨らみ(脱腸)ができ、鈍痛を覚えます。飛び出した腸が元に戻らないと腸が締め付けられ、血流障害が生じて(嵌頓ヘルニア)、腸管の一部が壊死し、激しい腹痛や嘔吐を起こすことがあります。

鼠径ヘルニアの治療
子どのもの場合は、先天性のものがほとんどですので、鼠径ヘルニアと診断され次第、すぐに手術を受けるのが原則です。生後3ヶ月もすれば、十分に安全に根治手術が可能です。

成人、高齢者の場合は手術以外に治す方法ありません。再発しないよう、ポリプロピレン製の人工膜で筋膜の穴をふさぐメッシュ法が広く普及しています。傷が小さいため局所麻酔で済むこともあり、日帰り手術も可能なため、急速に広まりました。

現在主流になっているのは、筋膜の穴にメッシュをはめ込む「メッシュ・プラグ法」や「PHS(プロリン・ヘルニア・システム法」です。メッシュ・プラグ法は、傘状のメッシュを穴に入れ、上から別のメッシュをかぶせて補強する方法。PHS法は、一体化した2枚のメッシュで穴を上下から補強する方法です。

また、最近注目されているのが、形状記憶のメッシュ(クーゲルパッチ)を使った「クーゲル法」です。鼠径部を5センチほど切開し、筋膜の下にメッシュを差し込みます。筋膜と腹膜の間に入り、体内で元の形に戻って腹圧で固定されるため、縫い付ける必要もありません。


 
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