消化器の病気のリスト

消化器の病気は、食習慣、喫煙、飲酒などの生活習慣やストレスとの関わりの強いものが少なくありません。例えば、食物繊維が少なく、動物性脂肪が多い欧米型の食習慣の普及にともない、日本人の胃がんは減少し大腸がんが増加しつつあります。

消化器の病気について

また、アルコールを長年にわたって、多量に飲んでいると肝機能に障害が生じて、肝硬変を引き起こすこともあります。さらに、膵臓にも悪影響を及ぼし、急性あるいは慢性膵炎の原因にもなります。

近年では、人間関係などのストレスから腹痛や下痢などの症状が慢性的に現れる過敏性大腸症候群(IBS)や、潰瘍はないのに胃腸が痛むディスペプシア(NUD)という病気が増加してきているといわれています。

  • 逆流性食道炎…胃液が胃から食道に逆流して、食道の粘膜に炎症を引き起こします。
  • 食道がん…熱いものや辛いものを好んで食べる人に多くみられるといわれています。
  • 胃がん…頻繁に胃粘膜を刺激することが原因につながりやすいとされています。
  • 胃けいれん…胃壁の筋層が緊張して起こる上腹部の激しい痛みのことです。
  • 急性胃炎…胃の粘膜がいろいろな刺激のために急性の炎症を起こした状態です。
  • 慢性胃炎…胃の粘膜が持続的に炎症を起こし、炎症が慢性的になる病気です。
  • 胃潰瘍…胃の粘膜に起こった欠損が、粘膜下の筋層にまで達する病気です。
  • 十二指腸潰瘍…胃液が十二指腸の粘膜を消化し、粘膜より下の層に欠損ができます。
  • 空気嚥下症…空気を飲み込むのが習慣になって、げっぷを繰り返す病気です。
  • 胃酸過多症…胃酸が過剰に分泌されて、胃内の酸度が異常に高くなる状態です。
  • 胃ポリープ…胃の粘膜が変化して、盛り上がってできたいぼ状のものをいいます。
  • 大腸がん…食物繊維が少なく、動物性脂肪の多い食事が関連あると考えられています。
  • 直腸ポリープ…直腸内にできた粘膜の隆起のことです。
  • 潰瘍性大腸炎…大腸、とくに直腸の粘膜がただれて、潰瘍などができるものです。
  • 過敏性腸症候群…ストレスが原因で、下痢や腹痛などの症状が慢性的に生じる病気です。
  • 腸閉塞…腸の一部の内腔が狭くなり、腸の内容物が詰まってしまう病気のことです。
  • クローン病…口腔から胃や腸までの全ての消火器に潰瘍や線維化を引き起こす難病です。
  • 吸収不良症候群…栄養素を正しく吸収できないため、栄養低下をきたしている状態です。
  • 虫垂炎…盲腸の先端から出ている中枢という管に炎症が起きる病気です。
  • 鼠径ヘルニア…鼠径部(大腿つけ根の内側部分)に腸の一部が脱出した状態です。
  • 腹膜炎…腹膜に何らかの原因で細菌が感染し、炎症を起こす病気です。

逆流性食道炎とは?

食道と胃の境界には噴門と呼ばれる部位があり、胃から食べ物や胃液が逆流してくるのを防ぐはたらきをしています。この噴門に障害が起こり、胃液や十二指腸液が胃から食道に逆流して、食道の粘膜に炎症を引き起こすのが逆流性食道炎です。

胸やけや嚥下障害が現れます

手術で胃を切除した人や、肥満気味の年配女性によくみられます。女性はもともと括約筋のしまりが弱く、太っていると腹圧が高くなるので、胃袋が圧迫されて、胃液や十二指腸液の逆流が起こりやすくなるためです。

逆流性食道炎の症状
胸やけがおもな症状です。そのほか、胸骨の後ろの痛みや、げっぷ、飲み込むときの痛みがあったり、飲み込みづらくなったりします(嚥下障害)。重症化すると、糜爛(びらん:ただれのことです)や潰瘍のために出血をともなうようになり、下血や吐血の症状を起こすこともあります。

逆流性食道炎の治療
軽症の場合は、寝るときに上半身を高くしたり、食べ過ぎや飲みすぎに気をつけるだけでも、ある程度は逆流を軽減できます。それでも改善しない場合は、胃酸の分泌を抑える働きのあるH2ブロッカーやプロトンポンプ阻害薬を服用します。

食道がんとは?

のどの下から胃の入り口までの間のどこかにできるものですが、食道がんになる8割は胸部の食道に発生します。とくに60歳代、70歳代の男性に多い病気で、長年にわたってアルコールやたばこの習慣があったり、熱いものや辛いものを好んで食べる人に多くみられるといわれています。
進行は早く、周囲への臓器やリンパ節への転位も起こります。

食道がんの写真です

食道がんは、早期のうちに発見されれば、ほとんどが完全に治癒します。早期発見には、年1〜2回の定期検診が不可欠で、とくに喫煙や飲酒などのハイリスクのある人は、定期的な検診を受けることが大切です。

食道がんの症状
自覚症状としては食物の通過障害を感じるなどいくつか典型的な要素があり、早期の食道がんの多くにみられるのですが、手遅れの状態になるまでまったく無症状のまま、というケースもあります。
また、重度の通過障害は普通ある程度進行した食道がんにみられるのですが、早期でもそのような症状が現れることもあり、症状の度合いと病気の進行は必ずしも一致しないという点に注意を要します。

典型的な症状は、食物を飲むときに使えるような感じや、挟まる感じ、しみる感じ、痛みを覚えることなどがあります。ほかにも胸痛や胸骨後方の痛み、胸やけ、食欲減退、からだがだるいなどの症状があり、たいていはこのいずれかが現れます。そして食物を満足にとることができないため、体重が減少していきます。

食道がんの治療
粘膜よりも下層に達していない早期がんでは、内視鏡を使ってがんのある粘膜を切り取り、治療することができるケースもあります。粘膜下層に達したがんでは、食道全部と周囲のリンパ節を摘出する開胸手術を行い、胃管をのどまで引き上げて食道の代わりとする再建術も行われます。

手術が難しい症例では、食道にステントを入れたり、放射線療法や化学療法を組み合わせた治療が行われることもあります。

急性胃炎とは?

胃の病気の中で最も多く見られるのが胃炎で、急性と慢性があります。急性胃炎のほとんどが急激かつ強い症状を示すものです。胃の内壁を構成している粘膜に炎症が起こり、充血やむくみを生じます。

外因性のものと内因性のものがあります。外因性急性胃炎は、飲食物や薬品などが原因で起こるもので、中でも過度の飲酒による例が多くみられます。熱いものやコーヒー、香辛料など、刺激が原因となることもあります。また、アスピリンや強心剤など薬が原因となることもあり、劇薬や毒物による急性胃炎もときにみられます。

内因性急性胃炎は、感染症などの合併症として生じるもので、肺炎やジフテリア、肝臓疾患などの病気から二次的に発生します。また、アレルギーによるアレルギー性胃炎もここに含まれます。

急性胃炎の症状
症状は原因によって多少異なりますが、多くは上腹部に激しい痛み、胸やけ、むかつき、嘔吐などで始まります。食中毒のときは発熱したり、下痢をともなったりします。
粘膜の炎症がひどいときには、激痛とともに吐血や下血の症状もみられます。

急性胃炎の症状は、胃潰瘍十二指腸潰瘍胃がん胆石症膵炎などと区別がつきにくく、お年寄りや子供の場合は虫垂炎とも区別が難しいです。なかでも、胃がんとは症状が酷似しています。
症状が軽く、原因がわかっている場合は問題ありませんが、原因がわからず、症状が続く場合は、医師の診察を受けるようにしましょう。

急性胃炎の治療
まず原因となる物質の除去(原因薬剤の服用中止など)を行います。むかつきや嘔吐が激しい場合は絶食し、点滴による栄養補給を行います。また、症状に応じて、胃酸分泌抑制薬、胃粘膜保護薬、制吐薬などを服用します。安静にしていれば、早期の回復が望めます。

慢性胃炎とは?

胃の粘膜が持続的に炎症を起こし、炎症が慢性的になる病気で、アルコールやタバコあるいは熱いものなどの刺激が、慢性的に加わることが原因と考えられています。
また、患者の多くがヘリコバクター・ピロリ菌に感染していることから、その関与が疑われていますが、因果関係は証明されていません。

萎縮性胃炎の画像です

慢性胃炎は粘膜の炎症の状態により、次の3つのタイプに分類されます。

表層性胃炎
胃の粘膜表面に帯状、斑状の赤い炎症がみられます。そのまま萎縮性胃炎に移行するものものあります。

萎縮性胃炎
胃の粘膜が萎縮し、粘膜の組織が徐々に破壊されていくもので、慢性胃炎の中で最も多くみられます。胃液の分泌が悪くなるので、食べ物の消化や、食べ物についている細菌の浄化作用が十分にできなくなります。

肥厚性胃炎
胃粘膜の筋肉が緊張して、そのために、厚く硬くなった状態で、胃液の分泌が多くなります。胃酸過多症と同じような症状が現れます。

慢性胃炎の症状
症状が現れないことが多いのですが、上腹部痛、吐き気、胃もたれ、胸やけ、食欲不振などの自覚症状を訴える人もいます。

慢性胃炎の治療
胃腺の萎縮を完治させる方法はなく、対症療法に尽きます。傷ついた胃粘膜を保護するために、胃酸分泌抑制薬や胃粘膜保護薬を服用します。胃もたれなどに対しては、胃の働きを促進する薬を用います。

十二指腸潰瘍とは?

胃液が十二指腸の内側の粘膜を消化することで、粘膜より下の層に欠損ができた状態です。十二指腸潰瘍の場合は、とくに胃の働きが活発で、胃酸の分泌量が多い人によく起こります。
胃潰瘍は高齢者にもみられますが、十二指腸潰瘍は20〜30歳代の若い人によく起こります。

潰瘍部分の内視鏡画像です

胃潰瘍と同様に、胃酸やペプシンなどの胃粘膜に対する攻撃因子と、粘液や粘膜血流といった防御因子のバランスが崩されて引き起こされます。これにはストレスが関与しているほか、ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)との関係も指摘されています。

十二指腸潰瘍の症状
空腹時に胃部の痛みを感じるほか、潰瘍部分の出血によって吐血や黒色便がみられることもあります。また、患部に穴が開いてしまう穿孔が起きると突発的な激しい腹痛が生じます。

潰瘍の治療と再発を繰り返すと、傷痕が変形し、狭窄を起こしやすくなります。狭窄が起きると、飲食物が通りにくくなり、嘔吐などの症状が現れます。

十二指腸潰瘍の治療
胃液の消化作用を抑える薬剤、酸分泌抑制剤、胃壁の粘液を強める薬剤を服用するなど薬物療法が中心となります。食事は、消化がよく栄養価の高いものを心がけ、たばこ、アルコールは中止します。また趣味や運動などでストレスを解消することも大切です。

潰瘍からの出血がひどく、吐血、下血を起こしている場合には入院し、内視鏡を使って止血の手術をします。潰瘍が深くなり、患部に穴が開いてしまう穿孔という状態になると、激しい痛みが生じ、生命の危険があります。この場合は、急性腹膜炎を起こすので、緊急手術が必要です。

胃潰瘍とは?

胃の粘膜に起こった欠損が、粘膜下の筋層にまで達する病気です。
一般に健康な胃では、胃液の消化作用で胃の内壁がおかされることがないように、胃の粘膜の表層には粘液が薄くかぶさっています。
この胃液の消化作用を攻撃因子、胃壁の粘膜を防御因子と呼びます。これら二つの因子のバランスが崩れると、胃液が胃の壁も消化してしまい、潰瘍ができることになります。

胃潰瘍の画像です

さらに胃の中でヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)の感染があれば、さらに容易に潰瘍ができることになります。また、喫煙・アルコール・コーヒーなどの生活習慣や職場での対人関係・ノルマ・過労などの環境なども発症の誘引となります。

胃潰瘍の症状
主に食後にみぞおちのあたりにシクシクとした痛みを覚えますが、食事と関係なく痛んだり、夜間に痛むこともあります。痛みの症状と併せて、胸焼けやげっぷ、胃もたれ、むかつきや嘔吐、さらに吐血や黒色便がみられることもあります。

胃潰瘍の治療
治療の基本は薬物療法で、胃酸やペプシンの分泌を抑える薬、胃酸やペプシンの消化力を弱める薬、粘膜を保護する薬、粘膜を増加させる薬などを服用します。

ピロリ菌の関与が疑われる場合は、抗生物質を用いるピロリ菌除菌療法を行うことがあります。ピロリ菌を除去すると、再発率が低下するといわれています。出血がひどいときは、内視鏡下で止血をする場合もあります。

合併症について
胃潰瘍や十二指腸潰瘍は、再発するケースが少なくありません。さらに危険な合併症を招いて手術を要することもあります。それが大出血、穿孔、狭窄の3つです。

大出血…胃の大きな血管が破綻すると、大量の吐血や下血が現れることがあります。通常は内視鏡的に処置しますが、止血しない場合は手術が必要です。

穿孔…深く進んだ潰瘍が外側の膜にまで達してそれを破ると、胃や十二指腸には穴が開き、そこから食物や消化液が腹腔に漏れ出して急性腹膜炎を起こします。

狭窄…潰瘍が治っても、そこには瘢痕とよばれる傷痕ができます。瘢痕は潰瘍が再発するたびに大きくなりますが、これが幽門や十二指腸球部にできると、その部分の内腔が狭くなり、食物がスムーズに流れなくなってしまいます。

胃けいれんとは?

強いストレスなどが原因で、胃壁の筋層が異常に緊張することで起こる上腹部の激しい痛みのことです。急性胃炎胃・十二指腸潰瘍胆石症膵炎心筋梗塞尿管結石などの症状として起こる腹痛も、胃けいれんといわれますが、検査で診断がつけばそれぞれの病名で呼ばれます。

検査を受けて原因をはっきりさせることが大切です

胃けいれんの症状
突然、激しい上腹部の痛みがやってきます。痛みが続く時間は数分から1〜2時間と幅があります。ひどい場合は、嘔吐や冷や汗をともなうことがあります。炎症性の場合は発熱もあります。

胃けいれんの治療
市販の薬で痛みを抑えることもできますが、早めに受診して検査を受け、原因を確かめる必要があります。内視鏡検査腹部超音波検査、血液検査でほとんど診断できます。

原因になる病気がある場合は、その治療を行うことが先決です。痛みを和らげるためには、鎮痙薬を用います。ストレスが原因の場合は、その解消に努めることが大切です。

胃酸過多症とは?

胃酸が過剰に分泌されて、胃内の酸度が異常に高くなる状態です。胃酸を分泌する細胞の増加や、中枢神経からの胃酸の分泌を促す刺激に対する過剰反応が考えられますが、詳細な原因はわかっていません。なお、胃酸過多症に対し、胃液の分泌が少なくなったり、分泌がなくなったりする状態は低酸症・無酸症といいます。

胃の痛み、胃もたれなどが現れます

胃酸過多症の症状
胸焼けやげっぷ、呑酸(胃液が口までこみ上げ、口の中が酸っぱくなる状態)、空腹時の胃の痛み、胃もたれなどの症状が現れます。ただし、これらの症状は慢性胃炎十二指腸潰瘍、食道がん、胃がんなどでもみられる症状です。受診して検査を受け、原因を確かめることが潜血です。

胃酸過多症の治療
検査の結果、心配な病気が見あたらない場合は、市販の胃薬(H2ブロッカー、プロトンポンプ阻害剤)などで酸症状をやわらげます。日常生活では、香辛料、コーヒー、炭酸飲料、漬物、アルコール、タバコなど、胃液の分泌を促進するものは避けるようにします。

酸症状に対して、検査をせずに胃酸過多症と自己判断し、市販の胃薬を服用して症状を抑えるのは、早期の胃がんを見逃す危険性につながります。かならず医療機関での検査を受けましょう。

胃がんとは?

胃粘膜から発生するがんの総称です。日本人の胃がんは、集団検診による早期発見率の向上、治療法の進歩などによって低下しつつあるとはいえ、依然として、がんによる死亡率の第2位です。
頻繁に胃粘膜を刺激することが原因につながりやすいとされています。アルコール、たばこ、塩分の濃い食品、焼き魚の焦げた部分、硬い米飯などが粘膜を刺激すると考えられています。

内視鏡で見た胃がんの画像です

さらに、胃の中に鞭毛を持ったヘリコバクター・ピロリ(ピロリ菌)という細菌がいて、これが発症に深くかかわっているとも考えられています。特に日本人はピロリ菌の感染率が高いとされています。

胃がんの症状
初期には自覚症状はありません。がんが進行していくと、腹痛、胸やけ、吐き気、嘔吐、胃もたれ、食欲不振などが現れますが、胃腸の病気によくある症状と特に変わりありません。

さらに進行すると腹部の腫瘍が押さえてわかるほどになり、全身が衰弱して腹水がたまるようになります。吐血や下血も起こり、体重が減少します。さらに血液やリンパ液で運ばれてほかの臓器に転移すれば、低タンパク血症や脱水症状が現れ、臓器に障害が起こります。

胃がんの治療
がんが早期で小さいなら、内視鏡を入れて、その粘膜の一部を剥がしとる処置をします。内視鏡の一部にワイヤー上の機械を入れ、レーザー光線を照射してがんを破壊することもあります。
また、レーザーの代わりにマイクロ波、高周波電流などを流し、がん細胞を固める凝固療法などを行なうこともあります。

これに対して、がんの範囲が広い場合や、進行がんであるようなときには、手術が基本となります。がんが胃体部より下か胃角や幽門部にできたときは、胃を少し残して切除手術を行ないますが、上のほうにできたときは、胃を全部摘出しなければなりません。
ただし、この場合は消化吸収が悪くなります。胃は少しでも、残っていたほうがよいのです。
がんが胃角や胃体部の下のほうにできたときは、そこから下を切除して十二指腸とつなぐ手術をします。

早期発見のためのがんの定期健診は、できれば半年に一回の割合で受けましょう。
特に慢性胃炎胃ポリープ、消化性潰瘍を患ったことのある人は、それらががん化する可能性があるので、定期健診が重要になってきます。

胃ポリープとは?

胃粘膜の一部が内側へ向かって隆起し、キノコ型や山型などの突起になっているものを胃ポリープといいます。ほとんどは良性ですが、まれに悪性、すなわち胃がんの一種とされるものがあります。狭義にいう「胃ポリープ」は良性のものだけを指し、それに対して、悪性のものは「ポリープ状がん」と呼んで区別することもあります。

胃ポリープの内視鏡画像です

現状では原因は不明ですが、胃粘膜に炎症性の異常が起こったあと、それが自然治癒する過程で、粘膜の細胞が過剰に再生され、そのために生じるものという考えもあります。年代が高くなるほど、発症率が上がる傾向にあります。

胃ポリープの症状
一般的には無症状で、胃X線検査(いわゆる胃のバリウム造影)や内視鏡検査で見つかる場合が多くなっています。胃の粘膜細胞の増殖がみられる過形成性ポリープの場合は、10mm以上に大きくなると、出血が見られることがありますが、がん化する可能性は低いとされています。
胃ポリープは胃炎をともなうことが多く、胃もたれ、膨満感などの症状が現れることもあります。

胃ポリープの治療
定期的に胃X線検査や内視鏡検査で経過観察を行なっていれば、特別な治療はいりません。ただし、粘膜細胞の悪性化が疑われたり、幽門部にあって食物の通過を妨げたり、出血がひどい場合は、内視鏡的な切除の適応となります。

吸収不良症候群とは?

各種栄養を吸収するシステムに障害が起こり、栄養素を正しく吸収することができないため、全身の栄養低下をきたしている状態の総称です。栄養の吸収に関して大事な働きをする酵素がいくつかあり、それを、先天的に持っていないため、吸収不良症候群となることがあり、膵臓の病気、腸の炎症、胃や腸の切除手術などが原因となることもあります。

吸収不良症候群の症状
吸収不良を起こしている栄養素が何であるかにより、現れる症状も違ってきますが、多くのケースで脂肪便や下痢、体重減少、貧血、手足末端部のむくみ、倦怠感などがみられます。
このなかで、ほとんどのケースに共通しているのは脂肪便です。1日に5g以上の脂肪が排泄されるのを脂肪便といい、量が多くてすっぱい匂いがし、便が水に浮くなど、特徴があるため比較的わかりやすい自覚症状です。

吸収不良症候群の診断と治療
脂肪便であることがわかれば、脂肪の吸収障害を確認できます。ほかに、糖質やたんぱく質などの吸収障害なども調べます。どの栄養素が不足しているかをみるために、各種の検査が必要です。エックス線検査や生検、腸液検査なども行います。

治療にあたっては、酵素の欠損がある場合は、その酵素を服用して補給するか、または酵素なしで消化吸収が可能な食物による食物療法を行います。原因となる病気がある場合は、食事療法などと並行してその病気の治療を行い、重症例に対しては高カロリー輸液や経腸栄養剤による特別な栄養補給を行うことがあります。

過敏性腸症候群とは?

精神的なストレスが原因で腸の運動や、腸液の分泌が悪くなり、下痢や便秘、腹痛をはじめとする症状が慢性的に生じる病気です。がんや潰瘍などの重大な病気ではありませんが、電車で通勤・通学をする人にとっては深刻な問題です。
腸の症状を訴えて受診する人の半数以上を占める頻度の高い病気です。便通の状態によって、腸の蠕動運動が低下する便秘型、1日3回以上の下痢が続く下痢型、下痢と便秘を繰り返す交互型に分けられます。

過敏性腸症候群はストレスに注意

以前は過敏性大腸炎、あるいは過敏性大腸症候群と呼ばれていましたが、大腸だけでなく、消化管全体に機能障害が起こる病気であるため、現在は過敏性腸症候群と呼ばれています。

過敏性腸症候群の症状
便秘や下痢のほかに腹痛、腹部の不快感、腹鳴などが主な症状です。排便後に便が残っている感じがする残便感、おなかが膨れた感じがする膨満感、食欲不振などもみられます。
また頭痛、めまい、動悸、肩こり、不眠など自律神経失調の症状が現れる場合もあります。

便秘や下痢については、それを交互に繰り返す交互型便通異常と、男性に多い下痢が続く状態や、女性に多くみられる便秘が続く状態があります。
ただ、下痢や便秘が続いても、身体には衰弱などが現れることはありません。

過敏性腸症候群の治療
ストレスを取り除くことが最善の対処法ですが、ストレスの原因がわからなかったり、わかっても状況(職場の人間関係など)を改善するのは難しいのが現状です。

しかし、規則正しい生活をして、軽い運動を行なう習慣を続けることで、腸管の機能を改善することができます。さらに、このような生活習慣の改善と併せて、下痢止め薬や整腸薬、腸管機能調整薬を服用したり、精神症状がみられる場合は抗不安薬や抗うつ薬などを用います。

潰瘍性大腸炎とは?

潰瘍性大腸炎は、大腸、とくに直腸の粘膜がただれて、潰瘍などができるもので、クローン病とともに、炎症性腸疾患といわれるものの代表的疾患です。20歳代の若い人に多くみられ、発症には免疫異常が関係していると考えられていますが、はっきりとした原因は不明です。
厚生労働省による難病(特定疾患)の指定を受けていますので、認定された場合の治療費は公費負担となります。

大腸内視鏡で見た粘膜のただれです(重症例)

潰瘍性大腸炎の症状
粘液と血液の混じった便が出ます。下痢やしぶり腹(頻繁に便意を感じるのに少ししか便が出ない)、腹痛などがみられることもあります。症状が進むと、粘血便が一日数回以上みられ、食欲不振や倦怠感、微熱などの全身症状が起こります。ときには口内炎や関節炎、慢性の皮膚炎なども起こってきます。

一度症状がよくなったように見えても、再び悪化することが多く、それを繰り返す人もいれば、症状が治まらずに持続する人もいます。精神的ストレスがきっかけで悪化することもあります。

潰瘍性大腸炎の治療
治療は、重症の場合は入院して行います。症状が悪いときは腸管に負担をかけないように経静脈栄養の天敵などを行い、しだいにおかゆやスープなどの消化のよい食べ物へと変えていきます。
そして症状が軽いときの食事療法は、食物繊維が少ない消化のよい食べ物で、高たんぱく、高エネルギー、高ビタミン食をこころがけます。

薬物療法は、サラゾピリン剤、ペンタサと副腎皮質ステロイド剤が主に使われますが、服用の仕方が難しいので、医師によく相談してください。入院期間は重症の場合、1ヶ月以上かかることがあります。しかし症状がよくなったら1ヶ月に1回程度の通院がいいでしょう。

クローン病とは?

クローン病とは、口腔から胃や腸までの全ての消火器に潰瘍や線維化を引き起こす病気で、厚生労働省による難病(特定疾患)の指定を受けています。
腸壁の深いところまで侵食していくのが特徴で、栄養の吸収に障害が起こります。
原因ははっきりわかっていませんがウイルスや細菌、あるいは遺伝や免疫によるものではないかと考えられており、完治が困難な病気です。潰瘍性大腸炎と同様に、20歳代の若者に多く発症します。

クローン病

クローン病の症状
慢性の下痢や腹痛、発熱、貧血、便にともなう出血、腹部のしこりなどで、徐々にひどくなります。また痔ろうをともなうことが多いのも、特徴のひとつです。症状が進むと腸閉塞などを起こすこともあります。

クローン病の検査
一般的な血液検査や便検査、さらに注腸X線検査、下部消化管内視鏡(大腸ファイバースコープ)検査を行ないます。診断技術が進歩しているので、これだけでほとんど診断がつきます。
また、大腸ファイバースコープを通じて疑わしい組織を採取することにより、潰瘍性大腸炎や悪性腫瘍との鑑別が可能です。

クローン病の治療
根治療法はなく、脂肪分を避け、高カロリー、高タンパク、ビタミンの多い食事を心がける食事療法が主となります。副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤などを服用する薬物療法を併せて行ないます。
最近は高カロリーの点滴療法や、エレメンタルダイエットという、必要な栄養は補ってほとんど便にならない特殊な栄養療法が注目されています。

腸管の狭窄や肛門部に病変が見られる場合は、手術が行われます。手術療法は、正常な部分を含めて病巣と思われる部分を十分に切除しますが、最近はなるべく直腸を残して人工肛門を避ける方法がとられています。

虫垂炎とは?

俗に「盲腸炎」の名で知られています。小腸からは大腸へ変わる部分にある盲腸の先端からは、虫垂という尻尾のような管が出ています。虫垂の先は閉じており、特別な機能はありません。この虫垂に炎症が起こるのが虫垂炎で、10代後半〜20代ぐらいの人に多くみられます。

虫垂炎

炎症の原因は虫垂への腸内細菌などの感染で、乱れた食生活や過労、風邪、便秘などが引き金となります。虫垂炎そのものは深刻な病気ではなく、手術も肝胆です。しかし、虫垂が破裂したり、ほかの組織と癒着すると、急性腹膜炎腸閉塞など危険な合併症を起こします。

虫垂炎の症状
特徴的な症状は腹痛で、はじめのうちは上腹部または腹部全体にわたる痛みを覚え、時間がたつにつれ、その痛みが右下腹部へ集中してきます。それに前後して、吐き気や嘔吐などもあらわれます。
これらの症状は時間の経過とともに、強まったり弱まったりしながら次第に強くなり、何らかの処置を施さない限りやむことはありません。38度前後の発熱、食欲不振、下痢または便秘などの症状もみられます。

治癒が遅れると、虫垂が周囲の臓器と癒着してしまったり、虫垂が破れて内容物が腹腔内へ流れ出し、急性腹膜炎を引き起こすこともあります。腹膜炎の段階へ至った場合には嘔吐がいっそう激しくなり、痛みの範囲が拡大して腹部が硬くなってきます。

虫垂炎の治療
なるべく早く入院して切除手術を受けることが大切です。ただ、症状によっては手術をせずに抗生物質などで保存療法をすることもあります。もし急性腹膜炎などを合併すれば、手術が困難になるだけではなく、生命に危険が及ぶこともあります。

大腸がんとは?

大腸にできるがんには結腸がんと直腸がんがあります。肺がんと並んで、増加傾向が著しいがんです。毎年約6万人が罹患し、近い将来胃がんを抜くとの予測もあります。
盲腸や上行結腸など、直腸から遠い部位に起きるがんは症状が現れにくく、発見が後れる傾向にあります。

がん発生の直接の原因は不明ですが、食物繊維が少なく、動物性脂肪の多い欧米風の食事が大腸がんの発生と関連があると考えられています。

大腸がんの写真

大腸がんの症状
大腸がん特有の症状はありませんが、血便や残便感、腹痛、便が細くなるなどの症状がよくみられます。これらの症状はS状結腸や直腸にがんができた場合にみられやすく、中でも血便の頻度が高くなっています。

結腸がんの場合は、腹痛、下痢などの症状から、慢性腸炎や潰瘍性大腸炎、結腸憩室炎などと間違えられることがあります。直腸がんの場合は、肛門からの出血を痔と間違えて受診が遅れることがありますので注意しましょう。

大腸がんの診断
スクリーニング検査として便潜血反応を行ないます。排便時の出血や便通異常がある場合には、血液検査で貧血がないかどうか、また腹部のX線検査でガスの分布の状態を調べます。直腸がんでは肛門から指を入れて触る直腸指診だけで診断できることもあります。

確定診断をするためには、造影剤を利用してX線写真を撮る注腸X線検査と、肛門から内視鏡を挿入して直接大腸の内腔を観察する大腸内視鏡検査が必要となります。
内視鏡検査で異常が確認できれば、その場で組織の一部を採取して顕微鏡で悪性かどうかを調べる(生検)ことができます。ポリープやごく早期のがんであれば内視鏡で簡単に治療が可能で、診断と治療を同時に行うことも可能です。

大腸がんの治療
原則として、外科的にがん細胞を除去します。早期がんの場合は、内視鏡下での切除術が選択されることもあります。進行したがん、転移した癌の倍は、それぞれの状態に応じて切除範囲を決め、腹腔鏡下切除術や開腹手術を行ないます。

腹膜炎とは?

腹膜炎とは、腹腔と腹部の臓器を覆っている腹膜に何らかの原因で細菌が感染し、炎症を起こす病気です。突発的に発症し、急速に症状が悪化する急性腹膜炎と、慢性的に症状が進行する慢性腹膜炎があります。

激しい腹痛が主症状です

急性腹膜炎
原因は、最も多いのが細菌による感染で、代表的なものが急性虫垂炎の穿孔(あながあくこと)です。
胃潰瘍十二指腸潰瘍の穿孔、胃がんの穿孔、胆嚢炎の穿孔も比較的多くみられます。子供の肺炎などに続いて起こる肺炎球菌性腹膜炎のほか、子宮内膜炎によって起こる骨盤腹膜炎などもあります。

原因となる病気の症状に付随して色々な症状が出ますが、激しい腹痛が一般的です。
胃かいようの穿孔では突発的に腹痛が起こり、虫垂炎や胆嚢炎の穿孔では今まであった腹痛が急に強まります。
腹痛以外の自覚症状としては、嘔吐や冷や汗、細菌による敗血症からくるショック状態、麻痺性腸閉塞による腹部膨満、呼吸障害などがあります。

急性腹膜炎の治療は、開腹して病巣を切除し、腹腔内にたまっている膿を取り除く手術が行われます。同時に、炎症の原因となっている細菌を死滅させるために抗菌薬を服用し、点滴による栄養補給などを行ないます。

慢性腹膜炎
結核や腹腔内のがんなど、病気に伴って発症する腹膜炎です。がんの場合は腹膜にがんが転移します。
結核性のものは進行すると微熱や腹痛、消化障害、腹水などが現れます。がん性のものは腹膜に腫瘤が転移して起こりますが、腹水もたまり、吐き気や嘔吐、便秘、発熱や全身の衰弱がみられます。

慢性腹膜炎の治療では、原因疾患の治療と並行して、抗菌薬を服用しますが、腸管の通過障害などの症状が改善されない場合は、手術が行われます。

直腸ポリープとは?

直腸ポリープとは、直腸内にできた粘膜の隆起のことです。腺腫様ポリープと非腺腫様ポリープがあり、前者はがん化しやすいという特長があります。
肛門に近いものは、痔核(いぼ痔)のために発生することがありますが、それ以外には、年齢的なことを除いてはっきりした原因はわかっていません。

直腸ポリープ

直腸ポリープの症状
小さいポリープが無症状のものがほとんどですが、肛門の奥に異物感があったり、排便後も残便感がみられる場合があります。人間ドックなどでよく偶然に発見されます。

腺腫様ポリープの多くは有茎性で、大きくなると表面から出血しやすくなり、こすれて、便に血がつくことがあります。肛門に近いものは肛門外に脱出することもあります。
ポリープの群生する直腸ポリポージスでは、直腸炎の症状が強く、粘血便が出たり、痛み、しきりに起こる便意などがあります。

直腸ポリープの診断
肛門指診または直腸鏡検査により確実に診断されます。X線検査におyり、円形の陰影欠損がはっきり認められた場合でも直腸鏡検査を行なって確認し、ポリープの生検で悪性化の有無を鑑別します。

直腸ポリープの治療
単発性あるいは2〜3個で有茎性であれば、簡単に内視鏡で見ながらレーザーや電気メスにより焼き切ることができますが、有茎性でないポリープは直視下手術によらないと切除できません。

一般に直腸ポリープは大きくなるとがん化の危険性があるので、大きいものを発見したら切除する必要があります。直腸ポリポージスには直腸切除術を行ないます。ポリープが悪化していれば、手術治療をします。

内視鏡によるポリープ切除は、入院の必要はありません。この場合は、1週間のうちに後出血がなければ平常の生活を送れるようになります。食物は刺激性ものを避け、便秘しないように努めましょう。

直腸がんとは?

直腸がんとは、大腸のうちの直腸にできるがんのことです。小腸にできるがんは珍しいのですが、大腸にできるがんは最近になって急増し、この10年で2倍となっています。これは日本人の食事の欧米化が深く関係し、肉や脂肪を多くとるようになったことが原因とされています。

直腸がん

大腸も胃と同じように、組織がいくつかの層から成り立っており、がんもいくつかの種類があります。大腸の組織は内側から外側に向かって粘膜、粘膜筋板となり、一番外側の漿膜にいたっています。
がんが粘膜や、そのすぐ下にある粘膜下組織にある場合は早期がんで、それより外側にできているのが進行がんです。進行がんは特に直腸とS状結腸によくみられます。

直腸がんの症状
早期がんではほとんど自覚症状はありませんが、進行すると便が黒色になったり出血があります。
痔の出血と間違われやすいのですが、痔の場合は便の表面にだけ血がついていることが多いのに対し、直腸がんでは便に血が含まれている状態が多くなります。

また、最初は下痢が続きますが、やがて便秘と下痢を交互に繰り返したり、腸が腫瘍で狭くなってくると、便そのものが細くなったり、便秘したりします。さらに貧血や体重減少、腹部膨満などが起こることもあります。

直腸がんの診断
直腸がんは、早期であればほぼ100%完治します。ただ一般的に自覚症状が乏しいため、症状のないうちに発見することが重要です。主な検査としては、次のような検査があげられます。

便潜血反応
いわゆる検便で、地域や職域で行なわれるスクリーニング(ふるいわけ)検査として定着しています。食事制限もなく簡単に受けられます。

直腸指診
医師が肛門から直腸に指を挿入してがんの有無を調べる検査です。大腸がん検査の中で最も手軽に行なえる検査ですが、直腸がんの約2/3が発見可能といわれています。

注腸X線造影
下部消化管内視鏡検査と並び、確定診断のために欠かせない検査です。便を完全に排出しないと制度の高い検査ができないため、胃の検査などに比べれば多少負担のかかる検査といえます。

下部消化管内視鏡検査
検査を受けながら、テレビに映る腸の様子を見ながら医師の説明を聞くことができます。
粘膜の微妙な色調の変化や、微小なポリープまで発見することができるばかりでなく、ポリープの切除も可能で、注腸X線検査よりも精度の有用な高い診断方法です。

症状がなくても便潜血反応で陽性(+)の場合は注腸X線造影検査や下部消化管内視鏡検査が行われます。ポリープがあれば、内視鏡でポリープ全体または一部を採取する組織検査が行なわれ、良性か悪性かが診断されます。
またX線検査や内視鏡検査で進行がんが疑われ、組織検査で証明されれば手術となります。

直腸がんの治療
原則としてがんを切除する手術が行われます。肛門近くの早期がんは、肛門側から切除しますが、肛門側からの手術が難しい場合は開腹手術を行ないます。

がんの浸潤が疑われる部位はできるかぎり切除します。直腸とともに肛門も切り取らなければならないケースもあります。切除後は、残された直腸と結腸、あるいは結腸と肛門管をつなぐ手術が行われます。肛門括約筋を含めて切除した場合は、ストーマ(人工肛門)をつけます。