直腸がんとは?

直腸がんとは、大腸のうちの直腸にできるがんのことです。小腸にできるがんは珍しいのですが、大腸にできるがんは最近になって急増し、この10年で2倍となっています。これは日本人の食事の欧米化が深く関係し、肉や脂肪を多くとるようになったことが原因とされています。

直腸がん

大腸も胃と同じように、組織がいくつかの層から成り立っており、がんもいくつかの種類があります。大腸の組織は内側から外側に向かって粘膜、粘膜筋板となり、一番外側の漿膜にいたっています。
がんが粘膜や、そのすぐ下にある粘膜下組織にある場合は早期がんで、それより外側にできているのが進行がんです。進行がんは特に直腸とS状結腸によくみられます。

直腸がんの症状
早期がんではほとんど自覚症状はありませんが、進行すると便が黒色になったり出血があります。
痔の出血と間違われやすいのですが、痔の場合は便の表面にだけ血がついていることが多いのに対し、直腸がんでは便に血が含まれている状態が多くなります。

また、最初は下痢が続きますが、やがて便秘と下痢を交互に繰り返したり、腸が腫瘍で狭くなってくると、便そのものが細くなったり、便秘したりします。さらに貧血や体重減少、腹部膨満などが起こることもあります。

直腸がんの診断
直腸がんは、早期であればほぼ100%完治します。ただ一般的に自覚症状が乏しいため、症状のないうちに発見することが重要です。主な検査としては、次のような検査があげられます。

便潜血反応
いわゆる検便で、地域や職域で行なわれるスクリーニング(ふるいわけ)検査として定着しています。食事制限もなく簡単に受けられます。

直腸指診
医師が肛門から直腸に指を挿入してがんの有無を調べる検査です。大腸がん検査の中で最も手軽に行なえる検査ですが、直腸がんの約2/3が発見可能といわれています。

注腸X線造影
下部消化管内視鏡検査と並び、確定診断のために欠かせない検査です。便を完全に排出しないと制度の高い検査ができないため、胃の検査などに比べれば多少負担のかかる検査といえます。

下部消化管内視鏡検査
検査を受けながら、テレビに映る腸の様子を見ながら医師の説明を聞くことができます。
粘膜の微妙な色調の変化や、微小なポリープまで発見することができるばかりでなく、ポリープの切除も可能で、注腸X線検査よりも精度の有用な高い診断方法です。

症状がなくても便潜血反応で陽性(+)の場合は注腸X線造影検査や下部消化管内視鏡検査が行われます。ポリープがあれば、内視鏡でポリープ全体または一部を採取する組織検査が行なわれ、良性か悪性かが診断されます。
またX線検査や内視鏡検査で進行がんが疑われ、組織検査で証明されれば手術となります。

直腸がんの治療
原則としてがんを切除する手術が行われます。肛門近くの早期がんは、肛門側から切除しますが、肛門側からの手術が難しい場合は開腹手術を行ないます。

がんの浸潤が疑われる部位はできるかぎり切除します。直腸とともに肛門も切り取らなければならないケースもあります。切除後は、残された直腸と結腸、あるいは結腸と肛門管をつなぐ手術が行われます。肛門括約筋を含めて切除した場合は、ストーマ(人工肛門)をつけます。

腸閉塞(イレウス)とは?

腸閉塞(イレウス)とは、なんらかの原因で腸の一部の内腔が狭くなり、腸の内容物が詰まってしまう病気のことです。大別して2つのタイプがあり、腸の蠕動(食物を消化するための動き)が疎外されて生じる機能的イレウス、通り道が物理的にふさがれるものを機械的イレウスといいます。

機能的イレウスは、腸が麻痺したり痙攣したりして、正しく働かなるために起こります。
一方、機械的イレウスの原因として最も多いのは腸の癒着で、腸壁がほかの腸や腹膜とくっついてしまい、そのために腸が湾曲したり引っ張られたりして通過障害が起こります。

この癒着を生じる最大の原因は手術です。腸閉塞全体のなかで、以前受けた手術が原因となり起こるものが6〜7割を占めています。体質的に癒着を起こしやすい人がいて、腸閉塞の患者さんにはそのような人が多いのです。

腸閉塞の症状
腹痛、嘔吐、吐き気、腹部が張って腸がゴロゴロ鳴るなどの症状が起こります。また、腸が詰まるのでガスや便が出なくなります。ただし、閉塞部位や程度により症状とその強さは異なります。
腸の血行障害を伴う場合は激痛が起こり、緊急の手術が必要です。

一方、胆管にできた結石が詰まってしまうと胆汁が十二指腸に流れなくなり、逆流した胆汁が血液中に溢れ、体中が黄色になってしまう黄疸が現れます。
また、実際には症状のない無症候性胆石も多く、症状がないからといって安心はできません。

腸閉塞の治療
絞扼性腸閉塞でなければ、保存的治療(手術をしない)で治療が可能です。
食事や飲水を中止し、胃腸を休め、十分な補液を行います。 腸の張りが強い場合は、鼻から胃や腸まで管を入れ、嘔吐のもととなる胃や腸の内容物を体の外に汲み上げます。腸の張りが少なくなれば、腸から吸収され快方に向かいます。

ガスや便が出れば、腸の通過障害は一応治ったことになりますが、腸が詰まった原因、つまり癒着や腸がはまり込んだおなかのくぼみは治らないため、再発の危険は残ります。

鼠径ヘルニアとは?

腹部内臓の一部が腹膜に覆われたまま、腹壁の間から飛び出すことをヘルニアといいます。
ヘルニアのうちで最も多いのが、鼠径部(大腿つけ根の内側部分)に腸の一部が脱出する鼠径ヘルニア(脱腸)です。小児に多い先天性のものと、成人後にみられる後天性のものがあります。
この病気は自然に治ることはなく、悪化すると腸閉塞(イレウス)腹膜炎を招くこともあります。

鼠径ヘルニア(黒い矢印の部分)

鼠径ヘルニアの症状
鼠径部に膨らみ(脱腸)ができ、鈍痛を覚えます。飛び出した腸が元に戻らないと腸が締め付けられ、血流障害が生じて(嵌頓ヘルニア)、腸管の一部が壊死し、激しい腹痛や嘔吐を起こすことがあります。

鼠径ヘルニアの治療
子どのもの場合は、先天性のものがほとんどですので、鼠径ヘルニアと診断され次第、すぐに手術を受けるのが原則です。生後3ヶ月もすれば、十分に安全に根治手術が可能です。

成人、高齢者の場合は手術以外に治す方法ありません。再発しないよう、ポリプロピレン製の人工膜で筋膜の穴をふさぐメッシュ法が広く普及しています。傷が小さいため局所麻酔で済むこともあり、日帰り手術も可能なため、急速に広まりました。

現在主流になっているのは、筋膜の穴にメッシュをはめ込む「メッシュ・プラグ法」や「PHS(プロリン・ヘルニア・システム法」です。メッシュ・プラグ法は、傘状のメッシュを穴に入れ、上から別のメッシュをかぶせて補強する方法。PHS法は、一体化した2枚のメッシュで穴を上下から補強する方法です。

また、最近注目されているのが、形状記憶のメッシュ(クーゲルパッチ)を使った「クーゲル法」です。鼠径部を5センチほど切開し、筋膜の下にメッシュを差し込みます。筋膜と腹膜の間に入り、体内で元の形に戻って腹圧で固定されるため、縫い付ける必要もありません。

空気嚥下症とは?

ふだん食事をしていると自然に空気を飲み込んでいますが、それはげっぷとして吐き出したり、腸のほうに移動しておならとなって外に出ます。しかし、その空気を飲み込むのが習慣になって、げっぷを繰り返す状態を空気嚥下症(呑気症)といいます。

頻繁にげっぷが出ます

早食いや炭酸飲料の取りすぎが原因の場合もありますが、多くは精神面・心理面の問題が関係しています。過剰なストレスを抱えて、無意識のうちに空気を飲み込む習慣が付いてしまう人もいます。

空気嚥下症の症状
腹部が張って、げっぷが頻繁に出ます。胃や腸にたまった空気が左横隔膜を圧迫するので、ときに動悸や息切れなどの症状がみられ、心臓病と間違われることもあります。

空気嚥下症の治療
ゆっくりとよくかんで食事をするようにします。症状が軽い場合は、消泡薬、消化管機能改善薬などを服用します。また、アルコールや香辛料、脂っこいもの、炭酸飲料などは避けるようにします。
精神的な原因がある場合は、ストレスを回避するようにし、必要に応じて抗不安薬などを用います。