肝臓、胆道、すい臓の病気のリスト

肝臓は大きく、細胞の再生力も活発なので、障害が発生してもすぐに症状が出るわけではありませんので、症状が出たときには病状がかなり進行していることが多いのが特徴です。
病気として多いのは、アルコールやウイルスなどによる急性あるいは慢性の肝炎です。ウイルス性のものにはA、B、C型などがあります。

お酒の飲みすぎに気をつけましょう

胆道・胆嚢・すい臓の病気として多いのは、胆汁に含まれるコレステロールやビリルビンなどの成分が固まってできる胆石症です。胆石症は胆道のどこにでも発生するもので、この胆石症が原因で胆管炎や、胆のう炎が発生することもあります。

また、すい臓では消化酵素によってすい臓そのものが消化される急性や慢性の膵炎などがあります。食生活の変化やお酒の飲みすぎなどで、胆道・胆嚢・すい臓の病気は近年増加しています。

  • 肝臓がん…肝臓の細胞から発生する原発性のものと、転移性のの2つに大別されます。
  • 脂肪肝…肝細胞の中に中性脂肪が蓄積して腫れてしまい、障害が発生する病気です。
  • 肝硬変…肝細胞が再生と壊死を繰り返していくうちに、線維化して硬くなる病気です。
  • 肝不全…発症は、すでに肝臓のかなりの部分が損傷を受けていることを意味します。
  • 劇症肝炎…肝細胞が急激に壊死を起こし、意識障害や昏睡状態に陥る状態をいいます。
  • 慢性肝炎…原因のほとんどは感染した肝炎ウイルスに免疫反応がかかわっています。
  • アルコール性肝障害…大量のアルコールを長期間のみ続けることで起こる肝障害です。
  • 胆管がん…肝臓から十二指腸までの胆管に発生するがんで、中高年に多くみられます。
  • 胆嚢がん…胆管の途中にある胆汁を蓄えるための胆嚢という袋状のものに発生します。
  • 胆石症…胆管から十二指腸に分泌される胆汁の成分が石のように固まった状態です。
  • すい臓がん…自覚症状が少なく、早期発見が最も難しいがんのひとつです。
  • 急性膵炎…膵液の消化酵素が、膵臓や周囲の臓器を消化して炎症を起こします。
  • 慢性膵炎…膵臓が硬化して、膵液や酵素の分泌作用が低下する病気です。

肝不全とは?

肝臓の働きが著しく低下して、代謝合成の作用が上手くいかず、本来は肝臓で解毒されて排泄されるはずの有毒物質が、身体の血液内に多く残るようになった状態です。
肝不全には劇症肝炎など急激に発生する急性型と、進行した肝硬変肝臓がんでみられる慢性型に分けられます。

肝機能が維持できなくなった状態です

肝不全の症状
黄疸、腹水、意識障害(肝性昏睡)、あざや出血を生じやすい傾向、全身倦怠感、腎機能障害が現れます。

肝不全の治療
絶対安静のうえ、対症療法が行われます。タンパク質の摂取量は多すぎても少なすぎてもいけませんので、食事制限で慎重にコントロールします。腹水がたまらないように塩分の摂取量も厳しく制限します。

肝細胞壊死を抑えるためのステロイド薬、ウイルス性肝炎が原因の場合はインターフェロンや抗ウイルス薬が用いられます。血液中の有害物質を除去するために、人口肝補助療法(血漿交換および血液濾過透析)が必要になる場合もあります。
慢性肝不全で、予後が悪い場合は、肝移植が必要になります。

アルコール性肝障害とは?

大量のアルコールを長期間飲み続けることで起こる肝障害です。肝臓がアルコールを分解するときにできるアセトアルデヒドという毒性の強い物質が、肝細胞を破壊したり(壊死)、炎症性の変化を起こしたり(変性)、肝細胞の線維を増殖させて肝臓を硬く変化(線維化)させたりします。

肝臓を休める休肝日を作りましょう

進行の程度によって初期の脂肪肝から、アルコール性肝炎、さらにアルコール性肝硬変とに分けられます。どんなに肝臓が丈夫な人でも、1日に日本酒二合以上を5年以上毎日飲み続ければ発症します。

アルコール性脂肪肝
アセトアルデヒドにより、肝細胞の中に中性脂肪が大量に蓄積して腫れてしまい、その結果、肝臓そのものが腫れて肝臓の機能に障害が発生してしまうものです。

最初は自覚症状がないことが多いですが、そのうち全身倦怠感、腹部膨満感などが現れます。治療は禁酒と栄養バランスのよい食事を心がけることが基本で、肥満の人は運動も必要です。

アルコール性肝炎
肝細胞が壊れて肝臓に炎症が起きている状態です。一般的には禁酒により改善するとされていますが、急性肝不全を起こすと危険な状態になることがあります。

症状は脂肪肝と同様の全身倦怠感や腹部膨満感のほかに、譲腹部の痛みや、吐き気・嘔吐、下痢などが現れ、体重が減少します。また、発熱、黄疸、腹水なども起きます。
治療にあたっては入院が必要で、食事療法、副腎皮質ホルモンの投与のほかに、アルコール依存の治療が必要な場合もあります。

アルコール性肝硬変
肝細胞が壊死して線維化が起こり、肝臓全体が硬くなって肝機能が極度に低下した状態です。症状は黄疸、腹水、体重減少、肝臓腫大など肝硬変と同じような症状が現れます。
完全な禁酒を守り、ほかの肝硬変と同様の治療をすることで良好な予後が望めるとされています。

劇症肝炎とは?

急性肝炎が悪化したもので、急性肝炎を発症して8週間以内に、肝細胞が急激に壊死を起こし、意識障害や昏睡状態に陥る状態をいいます。原因の9割はウイルスによるもので、残りが薬剤によるものですが、体の免疫反応が過剰になることで発症するようです。

インターフェロンや抗ウイルス薬による治療も行います。

ウイルスで多いのはB型で、薬剤としては麻酔薬や抗生物質、抗圧焼くなどへのアレルギーが原因となります。すぐに処置をしなければ生命にかかわります。また、回復しても肝硬変に移行することがあります。

劇症肝炎の症状
まず全身倦怠感、食欲不振、吐き気、嘔吐などが現れてから黄疸が出ます。進行すると頻脈、血圧低下、腹水、浮腫などがみられます。さらにひどくなると意識障害が起きたり、昏睡状態におちいり意識が完全に消失します(肝性昏睡)。

劇症肝炎の治療
全身管理の下、血漿交換と血液濾過透析を組み合わせた人工肝補助療法を行います。
原因が肝炎ウイルスの場合は、インターフェロン(ウイルスや細菌の増殖を抑えたり、がん細胞を攻撃したりするナチュラルキラー細胞を活性化する働きがあるたんぱく質)や抗ウイルス薬による治療も行います。

慢性肝炎とは?

肝臓に慢性の炎症が持続するものが慢性肝炎ですが、急性肝炎が半年以上続いているものは慢性の肝炎とみなされます。原因はほとんどが感染した肝炎ウイルスに免疫反応がかかわってくるものです。代表的なな慢性肝炎はB型・C型ウイルスが起こします。なおA型急性肝炎は慢性化しません。

C型肝炎ウイルスの画像です

B型慢性肝炎
B型肝炎ウイルスに感染し、症状が現れないでいる人をB型肝炎ウイルスのキャリアといいます。ほとんどが2、3歳までに母親などからB型肝炎ウイルスに感染したものですが、このキャリアに徐々に症状が現れてきたものがB型慢性肝炎です。
10歳代くらいから発症することが多い病気ですが、3歳以上で感染した場合はほとんどが急性の経過をたどり、慢性に移行することはありません。

B型慢性肝炎の症状ですが、急に悪化しないかぎり黄疸などは現れません。しかし、経過が長くなると肝硬変に移行して、ときに肝臓がんが発生する場合もあります。

多くが数年で安定化しますが、炎症が高度であったり、長期化して、肝硬変へ移行する可能性があれば、インターフェロンなどの抗ウイルス剤、ステロイドホルモン剤を使用します。

C型慢性肝炎
C型肝炎ウイルスの感染が続くことで起こりますが、過去に輸血を受けたことがある人に多くみられます。一度慢性化すると、自然にウイルスが排除されることはありません。

徐々に悪化していく率はB型よりも高くなっています。患者の約40%は、感染後20〜30年で肝硬変に移行し、そのうち70〜80%の人はさらに進行して、肝臓がんという経過をたどります。
患者数は男女ほぼ同数で、B型慢性肝炎の2〜3倍いるとされています。

C型慢性肝炎の治療はインターフェロンが中心となります。血液中のC型肝炎ウイルスの量が多い場合は、抗ウイルス薬のリバビリンの内服を併用します。
また最近では、新しいタイプのコンセンサス・インターフェロンが開発され、従来のものに比べて数倍の効果が期待できるとされています。

肝硬変とは?

慢性肝炎が長期に及び、肝細胞が壊れて繊維が増え、肝臓全体が硬くなって表面は凹凸状になり、血液の流れが悪くなって肝臓の機能が低下していきます。すると本来肝臓に変えるべき血液はほかへ流れ、素y駆動や胃の静脈瘤、字などの病変が発生してきます。
原因は、B型やC型のウイルス性肝炎、アルコール過剰摂取、自己免疫疾患などが代表的です。

肝臓が硬くなります

肝硬変の症状
初期には全身の倦怠感、食欲不振、微熱、腹部膨満が現れます。また、手の中央部から外側が赤くなり、胸や背中に赤い斑点が出てきます。人によっては全く症状が現れない場合もあります。
進行すると黄疸や腹水、意識障害が現れ、静脈瘤から出血すると、吐血や下血が起きることもあります。

肝硬変の治療
肝臓は再生力が旺盛な臓器ですので、初期の段階でウイルスや原因となるものを排除できれば治ることがあります。しかし、ある程度進行した肝硬変になると根治は期待できませんので、症状の進行を食い止めることが治療の目的となります。

自覚症状がないあいだは普通の日常生活を送ることができますが、黄疸や腹水がみられた場合は入院が必要となります。症状によって治療法は異なりますが、肝機能を安定させる薬や肝臓の炎症を抑える薬、腹水は、利尿薬やタンパク製剤などを投与して改善をはかります。

そして、肝硬変の3大死因である肝臓がん、肝不全、食道や胃の静脈瘤を含む消化管からの出血などの合併症を予測して、早期に対応していきます。
これらの合併症の発見には、定期的な超音波検査や内視鏡検査が欠かせません。

脂肪肝とは?

脂肪肝とは、肝細胞の中に中性脂肪が大量に蓄積して腫れてしまい、その結果、肝臓が肥大して肝臓の機能に障害が発生する病気です。アルコール以外にも、肥満や内分泌疾患、薬剤なども原因となります。通常は無症状ですが、疲労感や倦怠感を覚えることもあります。

肝臓が肥大しています

脂肪肝の診断
肝機能検査では、過栄養性脂肪肝ではGPTが高くなり、アルコール性脂肪肝ではGOTが高くなりがちです。そのほか、コレステロールや中性脂肪も高値を示します。
脂肪肝の診断にはそれらの血液検査にあわせて、腹部超音波検査や腹部CT検査で肝臓への脂肪の沈着を確認することが大切です。

脂肪肝の治療
原因を取り除くことが治療の基本となります。肥満によるものは、バランスの取れた栄養と摂取エネルギーの制限、運動療法などで体重を減らします。
食事では、肝臓の機能を再生させる働きのあるタンパク質、肝臓の働きを助けるビタミンB、解毒作用のあるビタミンCを十分にとるようにこころがけましょう。

アルコールが原因の場合は、完全な禁酒が必要となります。そのまま飲み続けていると、肝硬変に移行する可能性があります。とくに女性は進行が速いので要注意です。
糖尿病によるものは、血糖コントロールを行ない、薬剤が原因の場合は、その薬の使用を中止します。

脂肪肝は、急性妊娠脂肪肝とライ症候群を除いては、重症化することは稀です。また、アルコール性を除いては、肝硬変になることも稀ですので、必要以上に神経質にならずにしっかりと治療に専念しましょう。

肝臓がんとは?

肝臓がんとは、肝臓に発生するがんです。患者数は年間2万人で、がん死亡者数では男性が第3位、女性では第6位となり、その発生率は年々増加しています。
肝臓がんは、肝臓そのものの細胞から発生する原発性のものと、ほかの臓器で発生したがんが血液とともに運ばれて肝臓で増殖してできる転移性のものの2つに大別されます。

肝がん

肝臓がんの原因
およそ7割はC型肝炎から、2割はB型肝炎から進行します。これらのウイルス性肝炎が慢性化し、肝硬変に移行するケースでは、肝臓がんに進行する確率が高いことがわかっています。

肝臓がんの症状
初期には自覚症状はありません。進行してがんが大きくなってくると、まず身体のだるさや腹痛、腹部膨満、食欲不振が現れます。やがて、黄疸、衰弱、嘔吐などが現れます。

肝臓がんの診断と治療
GOT・GPT、腫瘍マーカー(AFP、PIVKA=U)など各種の血液検査のほか腹部超音波検査やX線CT、腹腔鏡、MRIなどさまざまな検査が行われます。また、確定診断のためには肝生検が必要となります。
肝臓がんに対しては、主に次の3つの治療法が行われます。

手術療法(肝切除療法)
開腹して、がんのある部位を切除する手術で、最も確実な治療法とされています。この手術が可能なのは、肝硬変の進み方が軽度から中等度までで、肝機能に余力の無い人には行なえません。

肝動脈塞栓療法(TAE)
鼠径部の動脈にカテーテルを挿入し、その先を肝臓に届かせ、がんに酸素と栄養を供給している塞栓物質を注入して動脈をふさぐ療法です。がん組織はほぼ100%動脈血に頼っているのに対して、がん以外の肝臓の組織は多くを門脈から栄養補給しているので、動脈をふさぐことで、がん組織だけを死滅させることができます。

経皮的エタノール局所注入療法(PEIT)
純度の高い無水アルコールをがんのある部位に注入する療法です。アルコールは細胞の水分を奪います。その性質を利用して、がんとその周辺の細胞を死滅させます。原則として、大きさ3cm以下、個数3個以内の症例に行われます。

このほか、化学療法や免疫療法、放射線療法などが行なわれる場合もあります。
最近では、経皮的マイクロ波凝固法(PMTC)といって、波長の短いマイクロ波を照射して熱を加え、がんとその周囲の組織を固めてしまう療法も行なわれています。

胆管がんとは?

肝臓から分泌された胆汁は十二指腸に送られますが、肝臓から十二指腸までの胆汁が通る道を胆管といいます。胆管がんは肝臓から十二指腸までの胆管のどこにでもできるもので、特に中高年の男性に多く発症します。原因は不明ですが、胆汁のうっ滞や炎症が、がんの発生を促すと考えられています。

胆管がんの症状
胆管というのは細い管ですから、ここにがんができると、胆汁の流れが妨げられるために、早くから黄疸が現れます。そのほか、右脇腹の違和感や痛み、発熱、下血(黒い便が出る)などもみられます。
食欲不振になり、体重減少や倦怠感が現れる場合もあります。また、胆汁が腸内に届かなくなるために、便の色が白っぽくなります。

胆管がんの診断
腹部超音波検査で、小さながんや早期のがんもかなり発見できるようになりました。
閉塞による黄疸などがある場合は、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)や経皮経肝胆道造影(PTC)でがんによる閉塞の状況を詳しく調べたり、腫瘍の一部を採取して調べることもあります。

また、MRCPという造影剤を使わないMRI(磁気共鳴影像法)検査をコンピュータで画像処理すると、胆道系が立体的に写し出され、確実な診断に役に立ちます。

胆管がんの治療
まず、黄疸を減少させてから病巣を切除します。胆管、胃、十二指腸、膵臓の一部を含めて切除する手術が行われますが、早期のものには胃を温存した方法がとられます。
切除する手術ができない場合には、黄疸を取るだけの手術が施されます。
また、進行して手術ができない場合には、減黄を施したうえで放射線療法や抗悪性腫瘍薬による治療が行なわれることもありますが、一般的に予後は芳しくありません。

胆嚢がんとは?

肝臓から十二指腸へ胆汁が流れる管を胆管といいますが、その途中には胆汁を蓄えるための胆嚢という袋状のもの(写真の緑色のもの)があります。この胆嚢にできるがんが胆嚢がんです。
比較的女性に多く、しかも40歳代の若いうちからみられます。

緑色に見えるのが胆嚢です

胆嚢がんは初期症状が現れにくいため、気付いたときには進行がんであることが多いです。
がんの悪性度が高く、進行も速いため、早期での診断と治療が重要になります。

胆嚢がんの症状
初期にはほとんど自覚症状がありませんが、症状が現れる場合歯腹痛などの胆石症に似た症状がみられます。進行すると右上腹部に胆石とは違う鈍い痛みが起こり、食欲不振や体重減少、全身倦怠感などが現れたり、黄疸になることもあります。

胆嚢がんの診断
胆嚢がんの検査としては、苦痛がなく反復して行なえる腹部超音波検査が重要で、これでほぼ診断がつきます。この検査により、最近では小さながんや早期のがんが数多く発見できるようになりました。

この検査で胆嚢になんらかの異常が疑われた場合は、次の検査としてCTやMRIが行われます。これにより、胆嚢がんの確認や周囲への進行状況や、他の臓器への転移の有無などが確認されます。
また、内視鏡を用いて十二指腸への胆道の出口から細い管を胆管に挿入して、直接胆道を造影する内視鏡的逆行性胆管造影(ERC)と呼ばれる検査を行なったり、腫瘍の一部を採取して調べることもあります。

胆嚢がんの治療
がんを取り除く手術が治療の基本になります。早期がんの場合歯胆嚢摘出術、胆嚢周辺に浸潤したがんには摘出範囲を広げた拡大胆嚢摘出手術が行われます。

さらに進行したがんには、胆嚢、胆管、肝臓の一部、関連のリンパ節を一緒に切除したり、肝臓の6割まで切除する拡大手術もあります。補助的に、放射線療法や抗がん剤療法を用いることもあります。

胆石症とは?

脂肪の消化に重要な役割を果たす胆汁は、肝臓でつくられ、胆嚢で濃縮され、胆管から十二指腸に分泌されます。この胆汁の成分が石のように固まったものを胆石といいます。
胆石は石の存在する場所によって胆嚢結石、総胆管結石、管内結石と呼び名が変わりますが、胆石によって引き起こされる病気を総称して胆石症といいます。

胆石症

日本では、高齢化社会にともなって胆石症が増加する傾向にあり、全人口の15%の人に胆石があるとも言われています。検診の際に、腹部超音波検査で症状のない胆石が発見されることがよくあります。

胆石はその主成分によって大きく二つに分けられます。1つがコレステロールを主成分と刷るコレステロール系結石で、胆石の大部分をして馬手います。
もう1つは、ビリルビン(胆汁の黄色い色素)を主成分とするビリルビン系結石で、そのほかのビリルビンカルシウム結石と黒色結石があります。

胆石症の症状
右上腹部から背中や右肩に放散する激痛は胆石疝痛発作と呼ばれ、胆石症の代表的な症状としてよく知られています。発作は、天ぷら、うなぎ、焼き肉などの脂っこいものを食べた30分〜数時間後に出現します。
しかし、一般的には上腹部の不定愁訴(具体的にどこが悪いのかはっきりしない)の方が多いようです。

一方、胆管にできた結石が詰まってしまうと胆汁が十二指腸に流れなくなり、逆流した胆汁が血液中に溢れ、体中が黄色になってしまう黄疸が現れます。
また、実際には症状のない無症候性胆石も多く、症状がないからといって安心はできません。

胆石症の診断
腹部超音波検査で胆石の有無や胆嚢の変形、胆管の拡張など、胆道の様子を調べます。
胆石が総胆管に詰まると黄疸が出現するので、生化学検査などでビリルビンALP値の上昇も調べます。
さらに治療方針を決定するために、胆嚢胆管造影、X線CT、MRIなどが必要に応じて行なわれます。

胆石症の治療
痛みや炎症症状が強い場合は手術により胆石の入っている胆嚢を摘出する必要があります。
手術方法としては、腹部を切開する「開腹胆嚢摘除術」と内視鏡を用いて腹部に小さな穴をあけ、胆嚢を取り出す「腹腔鏡下胆嚢滴出術」などがあります。

しかし最近では、「内視鏡的胆石摘出術」、体外から衝撃波を当てて胆石を破壊する「体外衝撃波破砕療法」、薬で胆石を溶かす「胆汁酸溶解療法」などの非開腹敵治療法が加わり、診断や治療の両面に著しい進歩がみられています。
無症状の胆石の場合は定期的に経過を観察し、急いで治療する必要はありません。

急性膵炎とは?

急性膵炎とは、膵臓から分泌される膵液に含まれる消化酵素が、膵臓そのものや周囲の臓器を消化して炎症を起こしてしまうものです。通常、これらの消化酵素は、膵臓内ではなく十二指腸に届いてから活性化して消化機能を発揮します。
しかし、急性膵炎では、何らかの原因によって膵液が膵臓内にあるうちから活発になりすぎて、膵臓の自己融解を引き起こしてしまいます。

急性膵炎

原因として多いのが暴飲暴食で、アルコールや胆石症が関係しているケースも多く見られます。胆道の出口が閉塞されて胆汁が膵管に逆流したような時に起こります。

急性膵炎の症状
腹痛がありますが、とくに上腹部に激しい痛みがあります。その痛みは炎症を起こしている間はずっと持続し、腹部から背中のほうへと広がり、ときには左右のほうにも感じることがあります。そして38度台の高熱がみられ、吐き気や嘔吐をともなうことがほとんどです。

またおなかが張ってきたり、皮膚の色が黄色くなってくることもあります。さらにひどくなると、血圧が下がってショックを生じ、精神不安定、幻覚などの精神障害も現れます。そのほか肺合併症を起こし、呼吸不全となることもあります。

急性膵炎の治療
絶食し、点滴で栄養補給しながら安静を保ち、感染予防のために抗菌薬を服用します。
胆石症の場合は、結石を除去する手術を行ないます。治癒後も過度の飲酒は避けるようにし、タンパク分解酵素阻害剤も服用します。

慢性膵炎とは?

慢性膵炎とは、膵臓の実質細胞の反復あるいは持続的な壊死、脱落と炎症、膵管周囲の線維化にともなって、膵臓が硬化して、膵液や酵素の分泌作用が低下する病気です。
膵液の分泌機能が低下し、進行すると膵臓全体が萎縮して、糖尿病になることもあります。

慢性膵炎

慢性膵炎の原因
アルコールによるものが大きな比重を占めています。また、アルコール性膵炎の場合は膵石を形成することが多く、それが慢性膵炎を進行させます。

慢性膵炎の症状
初期の症状ではほとんどの人が上腹部の痛みを訴えます。痛みはみぞおち部、左あばら部、背部、腰部にも広がり、激痛を感じるようになります。それに伴って吐き気、食欲不振、腹部が張る感じ、悪心、嘔吐、下痢、といった症状がみられ、発熱や体重減少、なども現れてきます。さらにインスリン分泌が悪くなり、糖尿病になることがあります。

慢性膵炎の診断と治療
最も簡単な診断方法は血中アミラーゼ値の測定です。近年は、トリプシン、リパーゼ、エラスターゼ1などの酵素も測定し、また、超音波検査やCTスキャンなどにおって膵臓の形態が診断できるので、より確実な診断ができるようになりました。
さらに、内視鏡的逆行性膵胆管造影(ERCP)という、十二指腸ファイバースコープを通して膵管に造影剤を注入する検査は、慢性膵炎の診断には欠かせません。

治療にあたっては、脂肪を制限した食生活に変え、鎮痛薬や消化酵素薬、タンパク分解酵素阻害剤などを服用して、症状を緩和させます。飲酒は症状を悪化させるので、禁酒にも努めます。

痛みが起こるときは食べ物を控え、水分の補給だけにして膵臓の機能の安静を図ることが大切です。症状が進行して、糖尿病を合併した場合は、食事療法と併せてインスリン注射が必要となります。

食事療法のポイント
脂肪をひかえる
急性だけでなく、慢性膵炎でも脂肪が急性膵炎発作を促すためひかえる必要があります。

高タンパク低脂肪の食事を心がける
タンパク質は膵臓の機能回復に有効ですから、脂肪の少ない良質なタンパクを、卵や乳製品、肉、魚、豆類からとりましょう。

ビタミン、ミネラルをとる
膵臓にはビタミンとミネラルが有効です。野菜や果実を多くとるようにしましょう。

すい臓がんとは?

すい臓の粘膜に発生するがんです。すい臓の周囲には重要な臓器があり、さらに血管が多いため、周囲へ浸潤したり、ほかの臓器への転移が起こりやすくなります。手術も難しく、死亡率の高いがんです。
かつての日本ではあまり多い病気ではありませんでしたが、食生活の変化によって、すい臓がんそのものの発生数が増え、慢性肝炎や膵石症、あるいは糖尿病と関係があるとみなされるようになっています。

自覚症状が少なく、早期発見が難しい

すい臓がんの原因
食生活との関係が深く、動物性タンパク質や動物性脂肪のとりすぎがすい臓に負担をかけることになり、それが引き金となってがんが発症しやすくなると考えられています。

すい臓がんの症状
腹痛、黄疸、体重減少が主な症状ですが、早期段階のうちは、それらの症状が表面に現れにくく、出ても、消火器病の一般的な症状の範疇にあるため、誤診されたり、発見が遅れがちです。

一般的には上腹部の痛みが最初の自覚症状となることが多いようです。この痛みや、いわゆる鈍痛で、なんとなくおなかの辺りが不快な感じだとか、重苦しいような圧迫感を覚える、といったように、あまりはっきりとしたものにならない傾向があります。

病気が進むと、体重の減少や黄疸も目立ってきますが、黄疸の症状のほうが先に出てくることもあります。そのほか、食欲不振、だるい、吐き気、嘔吐、下痢、便秘などがみられることもあります。

すい臓がんの診断
初期の自覚症状が乏しいため、多くはX線CTや腹部超音波検査によって発見されます。
膵炎との鑑別が難しい場合などには、MRI、内視鏡的逆行性胆管膵肝造影や腹部血管造影などの画像診断が行なわれます。そのほか血液検査として、血清アミラーゼ、CA19-9のほか、エラスターゼなどの膵酵素の測定などが行なわれます。

すい臓がんの治療
黄疸が強い場合は、まずは黄疸をとるための治療をしますそして根治(根本から治すこと)の可能性があれば、手術してがんを切除します。また、化学療法や放射線療法、温熱療法など組み合わせた集学的治療を行ないます。
なお、すい臓は全部摘出しても、消化剤およびインスリンの可能性の投与によって、日常生活は可能となります。