気になる病気と症状辞典

腎臓と尿路の病気のリスト

加齢にともない、腎動脈には粥状動脈硬化が起きやすくなり、細い動脈にも動脈硬化が生じてきます。尿細管にも萎縮や肥厚がみられるようになります。
また、腎臓の血流量の減少や糸球体の濾過機能の低下も起こってきます。さらには、老化によるホルモンの分泌減少も加わり、腎臓が持つ多様な機能は次第に低下してきます。

腎臓と尿路の病気について

膀胱や尿道などにも老化とともに変化が起こり、女性では尿失禁、男性では前立腺肥大症による排尿障害などが起こりやすくなります。腎臓の機能が損なわれたり、尿路に異常が起こると、体内に老廃物や水分がたまって健康がおびやかされることになります。
定期健診などで異常が指摘された場合は、精密検査を受けましょう。

  • 急性腎不全…正常に機能していた腎臓が急にその働きを停止した状態です。
  • 慢性腎不全…腎臓の機能が長期間にわたって徐々に低下していく状態をいいます。
  • 尿毒症…腎不全の最終段階で腎機能が著しく低下した状態です。
  • 腎臓がん…尿をつくる腎細胞の近位尿細管に発生するがんです。
  • 腎盂腎炎…細菌が膀胱から尿管を逆流し、腎盂や腎実質に強い炎症を起こす病気です。
  • 膀胱炎…大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込み、炎症を起こす病気です。
  • 膀胱がん…尿路の悪性腫瘍の中で最も発生率の高いのが膀胱がんです。
  • 腎結石・尿管結石…腎盂や腎杯にカルシウムやリン、尿酸などの結石ができます。
  • 尿道炎…尿道炎や尿道外傷などの後遺症で尿道の内腔が狭くなる病気です。
  • 尿道狭窄…副腎皮質ホルモンの分泌低下が慢性的に起こる病気です。
  • 膀胱尿管逆流…尿が尿管や腎盂に逆流してしまいます。
  • 過活動膀胱…膀胱が脳からの指令を待たずに収縮して、強い尿意を引き起こします。
  • 神経因性膀胱…膀胱と尿道を支配する神経系疾患によって起こる膀胱と尿道の機能障害。
  • 急性腎炎…喉頭炎や咽頭炎などに引き続いて、腎臓の糸球体に炎症が起こる病気です。
  • 慢性腎炎…タンパク尿や血尿などの腎炎の症状が1年以上続くものです。
  • 糖尿病性腎症…腎臓の血液濾過機能が低下して、老廃物が血液中にたまる病気です。
  • ループス腎炎…全身性エリテマトーデスの患者の約90%以上が罹るとされる腎炎です。
  • ネフローゼ症候群…多量にタンパク尿がでる病気の総称をネフローゼ症候群といいます。

慢性腎炎

タンパク尿や血尿などの腎炎の症状が1年以上続くもので、しばしば高血圧を合併します。原因の多くは腎臓の糸球体(尿をつくるために血液を濾過するところ)がなんらかの形でダメージを受けたものですが、正確な発症時期がわからないことがほとんどです。

腎臓のイメージ

慢性腎炎の症状
タンパク尿や血尿がみられ、症状が進むと、むくみや高血圧も現れてきますが、その経過はさまざまです。ただ、初期にはほとんど自覚症状がないため、風邪をひいたときや健康診断、妊娠時などの尿検査で、タンパク尿が検出されて、偶然発見されるケースがほとんどです。進行して慢性腎不全になって初めて気付く人も多いのです。

慢性腎炎の治療
早い時期に腎生検という検査(腎臓の組織を採取して、病状をより詳しく診断します)を行なって腎炎の型を決定することが大切です。必要に応じて副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤などの薬物療法が行なわれることがあります。
食塩を制限して血圧を管理する食事療法が基本ですが、なるべく安静にして身体を休めることも大事です。

同じ症状でも、何十年も正常な腎機能を保つ人がいる一方、腎機能の低下が速く、腎不全に陥る人もいるので、早期発見・早期治療および定期的な受診を心がけましょう。

糖尿病性腎症

糖尿病性神経障害および糖尿病網膜症と並ぶ糖尿病の三大合併症の一つで、高血糖状態が持続するために、腎臓の血液濾過機能が低下して、老廃物が血液中にたまる病気です。
近年、糖尿病性腎症から腎不全になるケースが急増しており、新規に透析療法を受けている人の約40%を占めるに至っています。

糖尿病の三大合併症の一つです

糖尿病性腎症の症状
はじめに見られる症状はたんぱく尿の出現ですが、近年ではたんぱく尿が出ていなくても、尿中アルブミン排泄量の増加によって早期発見ができるようになりました。また発病の早くからの高血圧をともなうことが多いとされています。

そして、異常が続いて尿中へ出るたんぱくの量が増加してくると 、血液中のタンパク質は減少してネフローゼ症候群となり、むくみがでるようになってきます。こうなると末期の腎不全へと移行しやすくなります。
また、目の網膜症のような眼症状や四肢の神経障害もみられるようになります。

糖尿病性腎症の治療
糖尿病の早期から血糖コントロールを適切に行なうことで、腎症の発症を防ぐことができます。また、発症後も低タンパク食を中心とした食事療法、血糖値や血圧のコントロールを厳密に行なえば、病状の進行を抑制できます。

高血圧の場合は減塩食にし、必要に応じてアンジオテンシン転換酵素阻害薬などの高血圧治療薬も使用します。進行して腎不全になると、透析療法(人工透析)を行なう必要があります。

ネフローゼ症候群

腎臓の糸球体の障害によって、本来は濾過されないはずのタンパク質が濾過され、尿細管での再吸収が追いつかず、多量にタンパク尿がでる病気の総称をネフローゼ症候群といいます。
尿中にタンパク質が排泄されるため、血液中のタンパク濃度下がり、血液中のコレステロールが増えて高脂血症になります。診断基準は1日3.5g以上のタンパク質が尿中に排泄され、かつ血清タンパクが6.0g/dl以下の状態に該当することとされています。

子供の場合、好発年齢は2〜6歳です

大崎善生氏のベストセラーノンフィクション「聖の青春」の故・村山聖八段(贈九段)もこの病気と闘っておられましたので、将棋の好きな方は以前から病名をご存知なのではと思います。

ネフローゼ症候群の症状
自覚症状では、まぶたや顔や足などのむくみが特徴です。風邪をひいたときのような倦怠感や食欲不振なども現れます。また、尿の量が減ってきて、尿検査では多量のタンパク尿がみられます。

血液検査では、タンパク質が減少してコレステロールや中性脂肪が増える高脂血症がしばしば認められます。腎臓機能の障害が進行すると、重篤な腎不全となり、生命にかかわることもあります。

ネフローゼ症候群の治療
安静と保温、タンパク制限・減塩の食事療法が必要ですが、むくみやタンパク尿が高度の間は入院加療が必要です。
薬物療法としては、まず第一にステロイドホルモン剤(プレドニン)をはじめは多量に使用し、症状がよくなるにつれて使用量を減らし、やがて1日おきくらいに使用するようにします。

このステロイド剤でむくみやタンパク尿がなくなり、血液成分が正常になっても、3年くらいの間は度々再発することがあるので、ネフローゼ症候群では症状のなくなった状態を治癒とはいわないで、寛解といいます。

むくみがはげしいときには、尿量を増やすためにステロイドホルモン剤のほかに、ラシックス、エタクリン酸、アルダクトンAなどの利尿剤が併用されます。
これらによって尿量が増えると、体内のカリウムが減るので、カリウムの含有量が多い野菜や果物をとることが大切です。

また、アルブミン液、代用血漿なども使用されますが、これらの方法でもむくみがとれないときは、腹部を穿刺して腹水を除きます。さらに、エンドキサンやイムラン、ブレディニンのような免疫抑制剤の使用も試みられています。

慢性腎不全

慢性腎炎糖尿病腎症などの病気が原因で、腎臓の機能が長期間にわたって徐々に低下していく状態をいいます。女性に多い慢性腎盂腎炎ループス腎炎なども原因となります。
急性腎不全と比べると、数ヶ月から数年あるいは数十年という長期間で腎機能が低下するもので、回復することはありません。

慢性腎不全の症状
初期には自覚症状はありません。腎機能が正常の20%以下に低下して、夜間の排尿解するが増えることで初めて異常に気付く人がほとんどです。
老廃物の血中濃度が高くなり、初めは全身の倦怠感や無力感、むくみ、食欲不振、吐き気、高血圧などが起こりますが、病状が進行してくると尿毒症の症状が現れたり、痙攣や昏睡状態に陥ることもあり、大変危険です。

慢性腎不全の治療
治療は、これ以上腎臓が悪くならないようにするのが基本です。最初は食事療法で症状の悪化を抑え、それでも良くならないときは透析療法を受けます。
食事療法かカリウムやリンを控え、たんぱく質の摂取量を少なくします。健康な人の1日のたんぱく質摂取量は70〜80gですが、腎機能が20%以下になった場合は、健康な人の半分に近くに抑えます。

ただし、たんぱく質摂取量を減らせば減らすほど効果があるかというと、そういうわけにはいきません。からだを作っている筋肉などを維持するためには、一定量のたんぱく質が必要だからです。
注意すべき点は摂取エネルギーを減らさないことです。摂取エネルギーが減ると、からだは筋肉などをつくっているたんぱく質で不足するエネルギーを補うため、老廃物を増やしてしまう結果になるからです。

こうした食事療法でも症状が良くならない場合は、透析療法を受けて、腎臓の働きを人工的に代行させます。しかし完璧な治療法ではなく、合わせて薬物療法も行わなければなりません。合併症に気をつけながら継続することになります。

腎臓がん

腎臓がんとは、尿をつくる腎細胞の近位尿細管に発生するがんです。透析を受けている患者さんに高率に発生することが報告されています。40歳以上に多く、ときに30歳代や20歳代でも発症します。
最近は、画像診断技術の進歩や健康診断の受診率が高くなったこともあり、自覚症状のない早期に発見されることが多くなりました。

CT検査で発見された腎臓がん

腎臓がんの症状
なんの原因も無く、突然に血尿が出て、数日から数週間続いて急にと止まり、尿が透明になるというような血尿を繰り返すことが多く、頻尿や排尿痛などの苦痛は全くありません。
ごく軽い血尿から、血が固まって出るような強い血尿まであり、後者は尿管に凝血が詰まり、尿管結石と同じような鈍痛や疝痛を起こしたり、膀胱内に大きな凝血がたまって尿道口をふさいでしまうため、尿閉になることもあります。

進行してくると、腎臓が大きくなるので触診できるようになり、また鈍い痛みを背側部にかんじるようになります。血尿、腎臓の腫瘍、腎臓の痛みが三大症状といわれています。
以上の症状のほかに、早期に発熱することもあります。多くは微熱ですが、進行の速いものには高熱を出すものもあります。

現在では、健康診断やほかの疾患の検査中に、超音波(エコー)検査やCTスキャン、MRIなどの画像検査で、全く無症状の早期の腎臓がんが発見されることが多くなりました。
肺、肝臓、リンパ節、骨に転移しやすく、その場合は転移した臓器に症状が出てきます。

腎臓がんの治療
手術が最良の方法ですが、抗がん剤や放射線療法も有効なことがわかっています。一般には、がんのあるほうの腎臓を、周囲の脂肪組織やリンパ節とともに切除します。腎臓は二つあるので、片方が正常であれば、十分にはたらいてくれます。
肺、肝臓、リンパ節に転移した場合は、抗ウイルス薬ののインターフェロンやインターロイキン2製剤のイムネースが有効です。

腎盂腎炎

腎盂腎炎とは、大腸菌などの細菌が膀胱から尿管を逆流し、腎盂や腎実質(皮質)に感染して強い炎症を起こす病気です。上気道炎などから、細菌が血液を通って腎臓に感染する血行性のものもあります。
膀胱尿管逆流や、腎結石・尿管結石尿管狭窄膀胱炎があると罹患率が高まります。また、女性は尿道が短く外尿道口が膣や肛門に近いために、男性に比べて発症率が2倍となっています。
急性段階で正しい手当てをすれば比較的簡単に治りますが、不摂生をしたりして放置すると、10〜20年かけて慢性状態に陥る危険性があります。

腎盂腎炎

腎盂腎炎の症状
急性の場合は、悪寒とともに高熱が出て。腰や脇腹、背中などに鈍痛が起こります。
吐き気や嘔吐をもよおし、排尿時の痛みや頻尿、血尿などが出ることもあります。

腎盂腎炎の治療
急性の場合は安静にし、尿中の細菌に有効な抗生物質を2週間ほど使用します。そして治療中止後も、少なくとも半年は経過を観察して、再発があれば同様の治療を行なって慢性化を防ぎます。
患者さんは自分の判断で抗生物質を使用したり、注しないことが必要です。その菌に効かない抗生物質を無駄に使用すると副作用が起こり、また完全に治らないうちに服用をやめると慢性化する恐れがあります。

慢性の場合は、病気を治すよりも、むしろ進行をとめることが主で、急性症状がみられれば、尿の細菌にあった抗生物質をかなり長期間使用すことになります。

過活動膀胱

2002年の国際尿禁制学会(ICS)で認められた新しい疾患名です。膀胱が脳からの指令を待たずに収縮して、強い尿意を引き起こします。原因となる病気には、脳血管障害や脊髄損傷による神経因性膀胱前立腺肥大などもありますが、原因疾患がないのに起こる突発性の過活動膀胱も少なくありません。

我慢できない強い尿意が特徴です
  1. 尿意を突然もよおして、我慢が難しいことがある。
  2. 尿をする回数が多い。
  3. 我慢ができずに失禁してしまうことがある。

1があてはまる場合は、過活動膀胱の疑いがあります。2と3の項目も該当する場合は、さらにその可能性は高くなりますので、泌尿器科もしくは尿失禁外来を設けている婦人科を受診しましょう。

過活動膀胱の症状
健康な人の場合、400〜500mlの尿がたまるとトイレにいきたくなるのですが、過活動膀胱では、100ml前後の尿がたまると強い尿意をもよおし、我慢できずに失禁してしまうことが日常的に起こります。また、頻尿になり、予感の就寝中でも失禁することがあります。

過活動膀胱の治療
自律神経に作用して、膀胱の過度の収縮を抑える抗コリン薬での薬物療法が中心となります。副作用として口が渇く、尿が出にくくなる、便秘、発汗などがみられる場合があります。

膀胱炎

膀胱炎とは、大腸菌などの細菌が尿道から膀胱に入り込み、炎症を起こす病気です。男性に比べて尿道の短い女性に多く発症し、月経後や排尿を我慢したときに起こりがちです。過労や風邪、生理、妊娠などで抵抗力が落ちている場合も感染を誘発します。
男性の場合は前立腺炎が原因となることが多いです。

膀胱炎は女性に多く発症します

膀胱炎の症状
頻尿、排尿時の痛みと灼熱感、尿の濁りが代表的な症状です。急性の場合は症状の現れ方がきわめてはっきりしているのに対し、慢性の場合は症状が軽く、その進み方も遅いのが特徴です。
また、発熱を起こす場合がありますが、そのほとんどは微熱で、高熱が出るのは腎盂腎炎を併発していると考えられます。
女性の慢性膀胱炎で多い尿道膀胱炎では、尿がにごることはほとんどなく、頻尿や排尿時の痛みが長時間続きます。

膀胱炎の治療
治療には原因菌に有効な抗生物質を用います。膀胱炎だけなら抗生物質の服用で数日中に治ります。症状が長引く場合は、他の病気が隠れていることがあります。発熱をともなうときは腎盂腎炎の合併が疑われます。そのような場合には再受診する必要があります。

多量の水分を摂取することが膀胱炎の予防に役立ちます。尿が勢いよく流れることにより、多くの細菌が膀胱から押し出されます。残りの菌は体の自然の防衛機能によって取り除かれます。

膀胱がん

尿路の悪性腫瘍の中で最も発生率の高いのが膀胱がんです。40歳以上に多く、3:1の割合で、女性よりも男性に多く見られます。膀胱がんのうち、その90%以上が膀胱の内側の粘膜に発生します。
粘膜以外の腫瘍には、悪性の肉腫と良性の線維腫などがあります。再発率が高い病気で、転移すれば生命の危機も生じます。

Bladderは膀胱、Tumorは腫瘍です

膀胱がんがなぜできるのか、詳しくは不明ですが、喫煙との因果関係が注目されています。
膀胱がんの30〜50%の人は喫煙習慣があるといわれ、喫煙習慣のない人の4倍の発生率といわれています。また、特別な化学薬品を扱う人の膀胱にがんができることがあります。

膀胱がんの症状
ほかになんの症状もともなわない血尿がみられます。突然、原因もなく血尿が出て、数日から1〜2週間で急に尿が透明になることが多く、これが数ヶ月の感覚で繰り返して起こります。

また、膀胱炎を併発することがよくあります。腫瘍が膀胱頚部付近にできる場合は、それによって内尿道がふさがれてしまうために、排尿の中断などの排尿異常が起こります。頻尿、排尿痛のある人もいます。

膀胱がんの診断
膀胱鏡を使って腫瘍の一部を採取して生検を行なって確定診断を下します。
最近は、血尿のスクリーニング検査として超音波診断により膀胱がんが発見されることもあります。また、尿中にがん細胞を認める場合があり、尿の細胞診といって、無症候性血尿の精密検査として必ず行なわれる検査です。
さらに、転移の有無などがんの進行の具合を調べるには、CTスキャン、MRI、骨シンチなどの放射線科の検査が必要となります。

膀胱がんの治療
治療の方法は、腫瘍の進行状態によって異なります。腫瘍の早期発見、完全除去が大切です。
良性の乳頭腫や小さいがんの場合は、尿道から内視鏡を挿入して、電気で切除する経尿道的切除術(TUR)を行ないます。少し大きい腫瘍の場合は、腫瘍とともに膀胱壁を外科的に切除しますが、最近ではほとんどTURで処置します。

非常に大きい場合は、膀胱の全摘出手術が必要となり、その際は新しい尿路を作ることになります。尿を尿道以外から体外に出す方法を尿路変更術といい、この方法には数種類ありますが、状況によってよいものを選択します。

手術が不可能と判断された場合は、放射線治療、抗がん剤などの治療を行ないます。
膀胱がんは再発しやすいがんですので、手術後も最低、半年に一回は膀胱内を検査する必要があります。


 
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