気になる病気と症状辞典

ホルモン、代謝の病気のリスト

ホルモンは、体温や血液などの体内環境を常に一定の状態に保つ役目をします。また、活動のエネルギーを維持したり、体の成長、成熟、生殖のためにはたらきます。ホルモンを分泌する器官は、視床下部、下垂体、甲状腺、副甲状腺、副腎皮質、副腎髄質、性腺、膵臓があります。

ホルモン、代謝の病気について

甲状腺ホルモンが過剰に分泌される状態を甲状腺機能亢進症といい、代表的な病気がバセドウ病です。逆に、血液中の甲状腺ホルモンが減少した状態を甲状腺機能低下症といいます。ほとんどは慢性甲状腺炎が原因で起こります。ほかに、副腎皮質ホルモンの分泌に異常がみられるクッシング症候群などがあります。

ホルモンには代謝のシステムに深くかかわっています。例えば糖尿病は、膵臓から分泌されるインスリンというホルモンの働きが低下することで、糖の代謝異常が引き起こされる病気です。

  • 生活習慣病…日常の生活習慣が発症に及ぼす影響が大きい病気の総称です。
  • メタボリックシンドローム…内臓の周囲に脂肪が溜まる内臓脂肪型肥満が原因です。
  • 肥満症…健康障害を合併し、体重を減らす必要がある場合を、肥満症といいます。
  • 糖尿病…インスリン不足で高血糖が続き、糖が尿に混じって排出される病気です。
  • 高脂血症…血中コレステロールや中性脂肪などの脂質が、異常に多い状態をいいます。
  • 高尿酸血症…体内での尿酸の産生が多くなり、腎臓からの排泄が低下する状態です。
  • 低カルシウム血症…血液中のカルシウム濃度が8.5mg/dl以下という低下した状態です。
  • 高カルシウム血症…血液中のカルシウム濃度が10.5mg/dl以上という高い状態です。
  • 低カリウム血症…腎臓からのカリウム排泄量が増えて体外に多く出て、発症します。
  • 高カリウム血症…カリウム排出を阻害する作用のある薬を使用すると、発症します。
  • 尿崩症…抗利尿ホルモンの分泌が不足して、水分が尿として体外に出て行く病気です。
  • 甲状腺機能低下症…甲状腺ホルモンの分泌能力が低下する病気の総称です。
  • 甲状腺機能亢進症…甲状腺ホルモンの分泌が、多くなすりすぎたために起こる病気です。
  • 副甲状腺機能亢進症…血液中のカルシウム濃度が高くなってしまう病気です。
  • 慢性甲状腺炎…甲状腺に対する自己抗体が生まれることで、障害が起こる病気です。
  • 甲状腺腫瘍…甲状腺にできる腫瘍(腫瘤・腺腫)を総称して、甲状腺腫瘍といいます。
  • 褐色細胞腫…副腎髄質からカテコールアミンが過剰に分泌され、高血圧になる病気です。
  • アジソン病…副腎皮質ホルモンの分泌低下が慢性的に起こる病気です。
  • クッシング症候群…ムーンフェイスといって、顔に脂肪が付いてまん丸になります。

メタボリックシンドローム

内臓脂肪蓄積型肥満に、高血糖・高血圧・高脂血症の3つの生活習慣病のうち2つ以上を合併した状態を「メタボリックシンドローム」と呼びます。これらの要素は、それぞれが治療の必要がない軽症でも、複数が合併すると動脈硬化が加速され、心筋梗塞脳梗塞のリスクが高まってきます。

内臓脂肪型肥満が原因です

メタボリックシンドロームの診断基準は、ウエスト周囲径が男性85cm以上/女性90cm以上で、かつ下記のA・B・Cのうちの2項目を満たすときです。

  • A.脂質異常…中性脂肪150mg/dl以上あるいはHDLコレステロール40mg/dl未満
  • B.血圧異常…最高血圧130mmHg以上あるいは最低血圧85mmHg以上
  • C.糖代謝異常…空腹時血糖110mg/dl以上

メタボリックシンドロームの原因
内臓の周囲に脂肪が溜まる内臓脂肪型肥満が原因です。食生活の欧米化により、高脂肪・高カロリーの食事が多くなりがちです。さらに、お酒の飲みすぎ、運動不足、生活リズムの乱れも重なると、脂肪がどんどんたまっていきます。

内臓脂肪の脂肪細胞からは、インシュリンの働きを悪くさせたり、動脈硬化を悪化させる物質が分泌されます。また、動脈硬化を予防するアディポネクチンの分泌が抑制するので、動脈硬化が進みやすくなります。

メタボリックシンドロームの改善
治療薬はありませんので、生活習慣を改善し内臓脂肪を減らして、メタボリックシンドロームの状態から抜け出すしかありません。まず、高エネルギー、高脂肪の食事を控えて、栄養バランスの取れた食生活を心がけます。

また、適度な運動は、インシュリンの働きを良くして血糖値を下げるので、1回30分以上のスポーツ(ジョギングなどの有酸素運動がベスト)を週2回以上するようにしましょう。
内臓脂肪は、皮下脂肪より減りやすく、食事療法、運動療法の効果は比較的早くからあらわれます。

糖尿病

人体は栄養素の一つである糖質を体内でブドウ糖に変えて腸で血液に溶け込ませて、血糖として細胞に運んでいます。この血糖が脳や筋肉などいろいろな細胞で使われるエネルギー源となるには、膵臓のインスリンと呼ばれるホルモンの助けが必要です。

糖尿病について

インスリン不足が慢性化すると血糖がエネルギーとして利用されず、血液中に停滞して血糖の濃度が高くなってしまいます。高血糖が続くと糖が尿に混じって排出されるようになります。これが糖尿病です。

糖尿病は大きく分けて、治療にインスリンの注射が欠かせない「1型」、必ずしもインスリンの補充を必要としない「2型」に分類されます。日本人の糖尿病の約90%は2型です。

糖尿病の原因
1型は、免疫反応に重要な役割をする白血球の中のリンパ球が、自己抗体をつくって膵臓のβ細胞を破壊する自己免疫異常などが原因で起こります。インスリンがほとんど分泌されない状態です。

2型は、糖尿病の遺伝因子を持つ人にカロリーの多い食生活、運動不足、肥満、ストレスなどの生活習慣因子や加齢が引き金になって発症するといわれています。

糖尿病の症状
初期には自覚症状は現れませんが、病状が進むと、のどの渇き、多尿、倦怠感、体重減少などの症状がみられるようになります。この病気が進行すると、細小血管がおかされ、糖尿病網膜症糖尿病腎症、糖尿病神経障害などの合併症が現れます。

また、メタボリックシンドロームと呼ばれる病態に加え、喫煙などの多くの危険因子が重なっていると、動脈硬化を基盤とした大血管障害を合併し、脳梗塞心筋梗塞など、生命にかかわる病気を引き起こします。

糖尿病の治療
食事療法と運動療法基本です。ほかに薬物療法やインスリン療法を行います。

高脂血症

血液中にあるコレステロールや中性脂肪(トリグリセリド)などの脂質が、異常に多い状態をいいます。高脂血症のうち特に問題になるのは、高コレステロール血症、高中性脂肪(トリグリセリド)血症の二つで、両者が合併している場合もあります。
自覚症状がないために、健康診断などを除いては発見しにくく、放置していると狭心症心筋梗塞脳梗塞などを引き起こします。

狭心症や心筋梗塞、脳卒中の原因となります

高コレステロール血症
血液中のコレステロールが220mg/dl以上を超えると、高コレステロール血症といわれ、治療が必要とされます。コレステロールを大別すると、HDL(善玉コレステロール)、LDL(悪玉コレステロール)とがあり、HDLが多い場合にはむしろ好ましいとされています。

コレステロールというのは、細胞膜やホルモンの材料となり、身体にとって必要不可欠物です。コレステロールはリポタンパクというカプセルに詰められて血液中を運ばれていくのですが、身体の各部分へ配達するのがLDLであり、余分なコレステロールを回収するのがHDLです。

したがって、LDLが多すぎれば、血管壁に残されるコレステロールが増え、HDLが多ければそれを回収するコレステロールが増えて、血管壁がきれいになります。

コレステロール値が高くても、症状はほとんどありません。ですので、知らないうちにコレステロールが血管壁にたまって動脈硬化を進め、狭心症や心筋梗塞、脳卒中などを引き起こすことになるのです。

高中性脂肪(トリグリセリド)血症
血液中の中性脂肪が150mg/dlを超えたものをいいます。症状はありませんが、中性脂肪が増えすぎると、動脈硬化を促進するほか、糖尿病高血圧脂肪肝肥満高尿酸血症(痛風)、膵炎などの病気に悪影響を及ぼします。

高脂血症の原因と治療
華燭、糖分の多い食品の過剰摂取、運動不足が原因です。体質の遺伝もあり、先天的に起こる高脂血症の一つに「家族性高コレステロール血症」があります。腎臓病、糖尿病、肥満症などが原因の場合は、それらの病気を治療します。
糖尿病の食事療法、運動療法を参考に、糖尿病治療中の人と同様の生活を心がけてください。

高尿酸血症

体内での尿酸の産生が多くなり、腎臓からの排泄が低下して体内にある尿酸が多くなる状態が高尿酸血症で、この尿酸が関節に蓄積して炎症を起こすのが痛風です。

足の親指の激痛が痛風の特徴です

高尿酸血症の症状
通常症状はありませんが、腎臓や脳血管、心臓に影響します。尿酸値が9mg/dl以上になると、痛風発作が起こりやすくなります。痛風発作とは、長年関節に蓄積してきた尿酸結晶がなだれを起こし、主に足の親指の関節や膝関節に突然の激痛が出ることをいいます。風が当たっただけでも激痛が走ることから、「痛風」と呼ばれるようになりました。

女性の場合、女性ホルモンの作用により高尿酸血症は起こりにくく、痛風発作は男性が99%を占めています。

高尿酸血症の治療
基本は食事療法です。尿がアルカリ性(尿pH値が7以上)になると、尿酸結晶は溶けやすくなります。そこで、尿をアルカリ化する食品をとり入れて、逆に酸性化する食品は避けるようにします。
尿酸の原料となるプリン体(細胞の核に含まれるDNAの主成分)を多く含むレバーやビールなども控えましょう。

また、水分はたくさんとって尿量を増やし、尿酸を出来るだけ尿から排泄するようにします。それでも尿酸値が下がらない場合は尿酸の産生を抑える薬や排泄をよくする薬を服用します。
痛風に対しては、炎症を起こしている関節部に冷湿布をし、奨炎鎮痛剤を服用します。

甲状腺機能低下症

甲状腺機能低下症とは、甲状腺ホルモンの分泌能力が低下する病気の総称です。代表的なものに、慢性甲状腺炎(橋本病)があります。また、下垂体の異常で甲状腺刺激ホルモンが分泌されなかったり、視床下部の以上で甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンが分泌されないために発症することもあります。
なお、甲状腺ホルモンが逆に分泌されすぎるために起こる病気は、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)といいます。

甲状腺ホルモンの分泌能力が低下する病気です

甲状腺機能低下症の症状
甲状腺ホルモンの分泌が低下している程度では、目立つ症状はありません。しかし、甲状腺ホルモンが不足してくると物忘れや無気力、寒がり、発汗の低下、居眠り、皮膚のかさつき、眉毛も髪も薄くなるなどの症状が現れてきます。

さらに症状がひどくなると、顔や下肢全体がむくんだようになります(粘液水腫)。
日常の動作も鈍くなり、言葉もゆっくり、1日中のんびりしていることが多くなります。また極端に甲状腺ホルモンが不足した状態になると、昏睡に陥ることも少なくありません。

甲状腺機能低下症の診断と治療
血液中の甲状腺ホルモンや甲状腺刺激ホルモンの測定、血中コレステロールの増加もみます。
治療では、甲状腺から分泌されるホルモンのサイロキシンを少量から投与しします。
乾燥甲状腺末(チラージン末)を投与することもあります。甲状腺ホルモンを内服し、甲状腺機能が正常化すれば、症状は全て消失しますが、ホルモンは継続して内服する必要があります。

なお、海草類(昆布、ワカメ、海苔、ヒジキなど)には甲状腺ホルモンの原料となるヨードが豊富に含まれていますが、慢性甲状腺炎の人の一部には、このヨードを摂り過ぎると甲状腺ホルモンが作れなくなり、逆に甲状腺機能低下症になる場合がありますので注意が必要です。

クッシング症候群

クッシング症候群とは、副腎皮質ホルモンのひとつで、血糖上昇作用、タンパク質の合成・分解促進作用、あるいは抗炎症・免疫抑制作用などのはたらきがあるコルチゾールの分泌が慢性的に過剰になる病気です。

過剰になる原因としては、副腎に腫瘍の一種である腺腫ができたり、脳下垂体の腺腫あるいは悪性腫瘍による副腎皮質刺激ホルモンの過剰産生により、副腎皮質刺激ホルモンが過剰分泌されるものがあります。

クッシング症候群の症状
おもな症状としては、ムーンフェイス(満月様顔貌)といって、顔に脂肪が付いてまん丸になります。身体も肥満になっていきますが、手足は細いままで、胸や腹が太ります(中心性肥満)。

筋肉が萎縮して筋力が低下し、骨ももろくなるため、ちょっとしたことで骨折しやすくなります。
また、皮下出血が起こりやすくなり、性欲がなくなります。高血圧糖尿病骨粗鬆症を合併することもあります。

クッシング症候群の治療
重症になりやすいので、治療は早ければ早いほどよい病気です。一般的には、鼻から内視鏡を挿入し、鼻の奥の骨を除去して腫瘍を摘出する手術を行ないます。腫瘍摘出後は、下垂体機能が一時的に低下し、コルチゾールが不足状態になるので、糖質コルチコイドなどで補います。

副腎の腫瘍が原因の場合も、腫瘍の摘出手術を行ない、その後一時的に低下する副腎機能を補うために糖質コルチコイドを服用します。そのほか、放射線治療や副腎皮質ホルモンや副腎皮質刺激ホルモンの抑制剤を使った治療を行なうこともあります。

甲状腺機能亢進症(バセドウ病)

甲状腺機能亢進症とは、甲状腺ホルモンの分泌が、何らかの原因で多くなすりすぎたために起こる病気で、その大半はバセドウ病と呼ばれるものです。
治療を受けないと、約10%が心不全で死亡しますが、自然に軽くなる人も約25%います。あとは良くも悪くもならないケースです。なお、甲状腺ホルモンの分泌が低下して起こる病気は甲状腺機能低下症といいます。

甲状腺の腫れがみられます

甲状腺機能亢進症の症状
疲れやすい、食欲があるのに体重が増えない、動機、脈が速い、不整脈、手が小刻みに震える、微熱、下痢、生理不順など、さまざまな症状が現れます。
甲状腺は全体に腫れますが、触れてみるとあまり硬くなく、弾力性があります。
一般に甲状腺ホルモンは新陳代謝を活発にするホルモンなので、活動的なわりには疲れやすいのが特徴です。

甲状腺機能亢進症の診断
眼球突出などの症状から容易に診断でき、甲状腺が腫れていれば95%の確率で診断がつきますが、確定診断のためには甲状腺ホルモン検査や甲状腺のRI検査などが必要です。
このほか、胸部X線撮影や心電図、赤血球数などの血液一般検査、GOT・GPT、LDH、総コレステロールなどの血液生化学検査が行なわれます。

甲状腺機能亢進症の治療
甲状腺ホルモンの分泌を抑えるための薬を用います。それでも改善がみられない場合は、放射性ヨードを服用する放射性ヨード療法や手術療法を行ないます。
放射性ヨード療法とは、放射性ヨードを服用すると、その大部分が甲状腺に集まり、甲状腺を破壊するという働きを利用した療法です。手術療法では、甲状腺を部分的に切除します。

慢性甲状腺炎(橋本病)

慢性甲状腺炎とは、甲状腺に対する自己抗体が生まれることで、甲状腺組織に障害が起こる病気です。障害がひどくなると、甲状腺の細胞が破壊されてしまい、甲状腺機能が低下してしまいます。
最初に症例を報告した橋本博士の名前をとって「橋本病」ともいいます。
思春期すぎから閉経後まで幅広い年代にみられますが、60%以上は30〜50歳までの人です。更年期障害と間違えられることもあります。

橋本病

慢性甲状腺炎(橋本病)の症状
中年の女性に多い病気で、甲状腺がかたく腫れて、触れると凹凸を感じます。
体温が低くなったり、皮膚がカサカサになる、脈拍数が減るなどの症状もみられます。
さらに甲状腺ホルモンの分泌が減ると、寒がり、便秘、声がかれる、ゆっくりした話し方になります。

さらに甲状腺の機能が低下すると、顔がむくんだり、月経の異常(月経不順、無月経過多月経)が現れます。コレステロール値が上がり、肝臓の酵素の値も上昇するので、肝炎と間違えられることもあります。

慢性甲状腺炎(橋本病)の診断
甲状腺組織を顕微鏡で見ないと確定診断はできませんが、通常は抗甲状腺抗体が陽性で、硬い甲状腺腫が認められ、バセドウ病が否定できれば慢性甲状腺炎と考えて経過をみることになります。

慢性甲状腺炎(橋本病)の治療
甲状腺の腫れが認められても、機能に異常が無いと判断された場合は、定期的な検査だけで治療の必要はありません。甲状腺ホルモンの不足が生じた場合は、甲状腺ホルモン補充療法を行ないます。
また、ひじきや昆布などの海藻に多く含まれているヨードは甲状腺ホルモンの放出を抑制する作用があるので、過剰摂取しないようにします。


 
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