眼の病気のリスト

中年にさしかかってくると、目に何らかのトラブルや病気が起こることが多くなります。なかでも、近年注目されているのが緑内障です。潜在的には200万人とかなりの患者がいるにもかかわらず、医療機関で治療を受けているのは、わずか20%程度です。

目の病気について

加齢性黄斑変性もまた、中高年に増加しています。この病気はその名のとおり、加齢によって起こる眼の病気です。高齢化が進み、今後はさらに増えると予想されています。緑内障にしても、加齢性黄斑症にしても、治療が手遅れになれば失明する可能性の高い怖い病気です。

さらに、中高年になると高血圧や糖尿病、高コレステロールの人が多くなりますが、これらの病気も眼に悪影響を及ぼします。糖尿病による網膜症が、中途失明原因の第1位であることがそれを証明しています。

  • 白内障…瞳孔にある水晶体に濁りが生じて、視力が低下してくる病気です。
  • 緑内障…視神経が圧迫されて障害を起こし、視野が狭くなってくる病気です。
  • 飛蚊症(ひぶんしょう)…視野の中に蚊や糸くずのような浮遊物がぼんやりと現れます。
  • 黄斑変性症…ものゆがんで見えたり、視野の中心部分が暗く見えたりする病気です。
  • 網膜剥離…網膜が剥がれて、視細胞に栄養が行き渡らず、機能が低下します。
  • 糖尿病性網膜症…糖尿病の3大合併症の一つで、網膜の血管に障害が起こる病気です。
  • 網膜色素変性症…網膜の細胞が萎縮して、視力や視野の障害が進行していく難病です。
  • 中心性網脈絡膜症…黄斑部が浮腫状になること(腫れる)によって起こる病気です。
  • 視神経炎…視力が急激に低下し、特に、視野の中心部が見えにくくなる病気です。
  • 翼状片…目頭側の結膜から角膜にかけて、盛り上がった膜が広がってくる病気です。
  • 眼精疲労…目の酷使により、目の痛み、乾き、かすみなどの症状をきたす状態です。
  • VDT症候群…長時間ディスプレイの画面を見続けることによって起こる現代病です。
  • 近視…近いところにはピントがあってよく見えますが、遠くにはピントが合いません。
  • 乱視…一定方向の線だけはっきり見えたり、片目で見ると物が二重に見えたりします。
  • 老視(老眼)…水晶体の調節力が弱まり、近いところが見えにくくなる状態です。
  • 霰粒腫…マイボーム腺の出口が詰まって肉芽性の炎症を起こす病気です。
  • 麦粒腫…細菌の感染がもとでまぶたの一部が赤くなり、腫れて痛みが現れる病気です。
  • 睫毛乱生…逆さまつげのことで、まつげが眼球のほうを向いている状態です。
  • 眼瞼下垂…まぶたが垂れ下がってきて、目を開けにくくなる状態をいいます。
  • 角膜潰瘍…角膜にできた傷口にブドウ球菌などがついて潰瘍ができるものです。
  • 角膜ヘルペス…単純ヘルペスウイルスが感染して、角膜に樹枝状の潰瘍が生じます。
  • ぶどう膜炎…虹彩、毛様体、脈絡膜の総称であるぶどう膜に起こる炎症です。
  • アレルギー性結膜炎…アレルギー反応によって起こる結膜の炎症のことをいいます。

近視とは?

近いところにはピントがあってよく見えますが、遠くにはピントが合わず、見えにくくなる状態です。角膜から眼底までの距離を眼軸といいます。眼軸が長いと、遠くのものを見たときに、網膜より手前に像を結び、写真でいうピンぼけの状態になります(軸性近視)。
また、レンズの役目をする水晶体の屈折が強いために、網膜より前方に像を結ぶ屈折性近視があります。
近視が急に進んだときには、糖尿病などの病気が原因の場合があるため、注意が必要です。

ほとんどが単純近視です

近視の症状
近くはよく見えるのに遠くがぼんやりして見えにくくなります。また、子供のころからだんだん見えにくくなり、成人になって視力の低下が止まってくるのが「単純近視」です。
一方、「病的近視」とは、子供のころから視力が落ちてきて、成人になっても視力の低下が止まらないものです。また、眼鏡をかけてもきちんと矯正できません。網膜剥離や眼底出血を起こしやすくなります。

近視の治療
眼鏡やコンタクトレンズで、網膜上にきちんと像が結べるように矯正します。また、水晶体を調節している筋肉に緊張を緩める薬を点眼することもあります。

近年では、レーザーによる近視矯正装置が承認され、仕事やスポーツで眼鏡やコンタクトレンズに不自由を感じて、近視の矯正手術を受ける人が増えています。

手術には、次のような方法があります。PRK法は、角膜表面をレーザーで切除する方法で、術後2日ぐらい痛みがあり、視力の安定までに約1週間かかります。
レーシック法は、角膜表面を弁状に剥がし、レーザーで内部の層を削った後、ふたのように戻す方法で、痛みが少なく、回復も早いとされています。

ただし、20歳以下の人、目の病気や全身疾患のある人は近視矯正手術を受けられないことがあり、術後、長期間の経過については、十分に確認されていませんし、老眼が始まるのを早める可能性もあります。

乱視とは?

角膜、水晶体の表面の形が正しい球面になっていないため、外界の一点から出た光線が、眼内で一点に集まらず、凹レンズ、凸レンズのいずれでもはっきりと見えない状態をいいます。
角膜や水晶体のカーブの度合いが異なる正乱視のほか、角膜のけが、炎症、角膜潰瘍などで、角膜の表面がでこぼこになり、光の屈折が不規則になって起こる不正乱視があります。

乱視になるとこんな風に見えます

乱視の症状
軽い乱視では自覚症状はありませんが、気が付くくらいになると、遠くのものが見えにくくなったり、1つの目で見ると物が二重になって見えるようになります。

乱視の治療
軽い乱視ならそのままにしておいてもよいのですが、見え方がおかしくなくても頭痛や目の疲れがあって、それが乱視によるものとわかったら対応を図るべきでしょう。

正乱視には眼鏡かハードコンタクトレンズを用いての矯正が有効です。光の進入方向によって屈折率が違う、特殊なレンズを使用します。たいていは近視や遠視も含まれているので、乱視用のレンズの構造は複雑です。どの面にどの程度の異常があるのか、乱視検査表や角膜計を用いて詳しく検査をしたあとで、その当人にあった乱視用レンズをつくることになります。
不正乱視の場合は眼鏡では対応しきれませんが、ハードコンタクトレンズならばよい視力を得られる場合があります。

老視(老眼)とは?

眼に入ってきた光は、主に水晶体によって屈折させられます。機能正常ならばその焦点は網膜上にあり、そこに像を結びます。レンズの役割を果たす水晶体は柔軟な弾力性を備えていて、遠いところを見るときは薄く、近いところをみるときは厚くなって、焦点距離をうまく調節する働きをしています。

近くを見るときに弾力性が必要となるので、それが失われてしまうと近いところが見づらくなります。これが老視、一般的には老眼と呼ばれる状態で、からだの老化現象の一つであり、水晶体の老化に伴う、避けるのことのできない生理現象です。

老視の症状
屈折力が少し弱くなったときは、少し距離をとれば焦点合わせができるということになります。したがって、老視は本や新聞などを少し離してみるようになることから始まります。また、焦点合わせのため目に余計な負担がかかって、目の疲れ、かすみ、涙が出る、頭痛がするなど、いわゆる眼精疲労の症状も現れてきます。

老視は老化によるものですから、中年以降の人に見られる現象です。一般的にいって、遠視のある人はやや早め(30代後半)に、禁止のある人はやや遅めに始まる傾向があります。
徐々に進行して、次第に屈折力が弱くなり、したがって、次第に本を離す距離が伸びていきます。60〜70歳になると、水晶体の調節力がほぼゼロになるため、老視の進行もそこでストップします。

老視の治療
老視は病気ではなく、治療するという性質のものではありません。水晶体の弾力が失われてしまうと、それを回復する手立てはないので、老眼鏡によって調節するのが唯一の対応法です。
老眼鏡を使い始めてから老視の進行が止まるまでは、1〜2年に1回ぐらいのペースで精密検査を受け、老眼鏡のどを調節していく必要があります。

VDT症候群とは?

VDTとは、ビジュアル・ディスプレイ・ターミナル(視覚表示端末装置)の略語です。
オフィスのOA化が進むことによって拡大した現代病の一つで、長時間ディスプレイの画面を見続けることによって起こるものです。

症状としては、眼精疲労やドライアイ、頚肩腕症候群などが現れます。長時間の作業をしている最中に、目の奥が押し出されているような痛みを感じたら注意が必要です。そのままにしておくと、腰痛や肩こり、頭痛などからだのいろいろな部分に悪影響が出てきます。

常にディスプレイやTV画面と向かい合う人は、1時間作業をしたら10〜15分くらいの間ディスプレイの前から離れてストレッチ体操を行ったり、散歩をするなどの休憩をとるとともに、1日5〜6時間程度を実作業時間の目安とするのが理想的でしょう。

さらに、画面の向きを常に正面に向けたり、椅子の高さを調節するなどして正しい姿勢で作業する、作業場の周囲の証明が画面に写り込まないようにするなど、環境づくりにも気を配っていれば大丈夫です。

霰粒腫(さんりゅうしゅ)とは?

まぶたの裏には脂肪を分泌するマイボーム腺という管がありますが、この出口が詰まって肉芽性の炎症を起こす病気が霰粒腫(さんりゅうしゅ)です。

霰粒腫の写真です

霰粒腫の症状
まぶたの皮下に、グリグリとした球状のかたいしこりを触れます。皮膚とは癒着がなく、痛みや赤みもありません。ただし、細菌に感染して炎症を起こした場合は、赤く腫れて痛みもともない、麦粒腫(ものもらい)のように見えることもあります。

経過は長く、普通、数ヶ月の間に徐々に大きくなります。ときに結膜面や皮下で破れ、自然に吸収されて消失することもあります。

霰粒腫の治療
しこりが大きくなく、化膿していなければ、患部を清潔して抗菌成分を含む点眼薬を使用しているうちに治ることもあります。ある程度以上大きくなったものは、切開して脂肪のかたまりを摘出します。
治りにくく、治っても再発を繰り返すような場合は、がんなどが隠れていないか、組織を採取して検査をします。しこりに気づいたら、まぶたをむやみにこすらないように注意しましょう。

麦粒腫(ものもらい)とは?

まぶたには、まつ毛の根元などに脂分を出す孔(皮脂腺・汗腺)があります。この部分が黄色ぶどう球菌などの細菌に感染し、化膿性の炎症を起こしたのが麦粒腫という病気で、「ものもらい」と呼ばれることもあります。

抗生物質の内服や点眼で治療します

まぶたや、その周囲を不潔にしていると、細菌に感染しやすくなります。プールに入ったあと、よく洗わなかったり、汚れた指や手で、まぶたをこすったりしていると、かかりやすくなります。
また、糖尿病や貧血、睡眠不足などが誘引となることもあります。これらの病気によって細菌に対する抵抗力が低下してしまうからです。

麦粒腫の症状
はれぼったい、なにかできている、などのまぶたの違和感が最初のサインとなります。
次第にまぶたが赤くはれ上がり、強いかゆみや痛みを感じるようになります。たいていは炎症の部位が一点に集約されていって、やがてそこに膿がたまります。この膿が出て、朝起きると上下のまぶたが膿でくっついてしまって開かないほどになることもあります。しかしその頃は、病気はほぼ終わりの時期です。

麦粒腫の治療
局所の安静を保ち、抗生物質軟膏を塗ります。化膿がひどいときには、眼瞼上から初期には冷罨法(れいあんぽう=冷やす)、化膿しかけたら温罨法(おんあんぽう=温める)を行う場合もあります。

重症の場合は抗生物質の投与が必要なこともあります。内麦粒腫は、まぶたの内側から切開しないとなかなか治りにくいことがあり、爪で無理に膿を押し出したために、ひきつれなどを残すこともありますので、医師の診察を受けましょう。

排膿後、膿の一部が結膜などに残り、急性の結膜炎や眼瞼縁炎を起こすこともあります。麦粒腫を繰り返す場合には、治ったあと、1週間くらい抗生物質の点眼を続けます。

眼瞼下垂とは?

眼瞼下垂(がんけんかすい)は、上まぶたが垂れ下がってきて、目にかぶさるようになり、まゆを上げないと目を開けにくくなる状態をいいます。
この状態が続くと、ミューラー筋という筋肉も使うようになり、その結果、肩こりや頭痛、不眠、便秘などの自律神経症状をともなうことがあります。

眼瞼下垂の写真です

眼瞼下垂の原因
まぶたを持ち上げる筋肉(眼瞼挙筋)の機能が、先天的に悪い場合もありますが、多くは加齢にともなって筋肉が伸びてきたために、まぶたを上げられなくなるものです。

また、動眼神経麻痺、重症筋無力症、免疫異常、がん転移による頚部交感神経障害などが原因で起こる場合もあります。

眼瞼下垂の治療
先天性の場合は、瞳孔が隠れて見えないと、弱視になることがあります。幼いうちの手術は傷跡が残るため、弱視の可能性が無ければ、ある程度成長してから、まぶたを上げる手術をします。

老人性の眼瞼下垂では、見えにくい場合には手術が必要です。まぶたの皮膚を一部切除し、目を開けやすくする手術、筋肉の一部を切除する手術があります。
重症筋無力症では、両まぶたに起こることが多く、病気の治療が必要です。

飛蚊症とは?

視野の中に蚊や糸くずのような浮遊物がぼんやりと現れ、視線を動かすとそれらも一緒に動いて見える状態です。専門的には「硝子体混濁」といいます。
浮遊物の数に変化がなければ生理的なものですので心配ありませんが、急に数が増えたときは、放置すると視力障害や視野狭窄が起こることがあります。

飛蚊症の画像です

飛蚊症の原因
硝子体というのは、眼球内部の容積の大半を占めるゼリー状の組織で、眼球の形を保ち、角膜から入ってきた光を網膜へ通す働きをしています。この部分ににごりや出血があると、その影が網膜に映って、何かがちらつくように感じるわけです。

濁りの原因の一つである硝子体剥離は、硝子体が眼底からはがれて前方へ移動してしまった状態です。本来は光を通過させるだけの硝子体が網膜に影を落とします。後部硝子体膜の厚い部分が、影としてめるのです。

ほかにも、硝子体のにごりは、老化や極度の近視や先天的な原因でゼリー状の硝子体が液状化してしまういわゆる硝子体変性のほか、ぶどう膜炎などの炎症が原因であったり、網膜剥離の前兆としてみられることもあります。

飛蚊症の治療
まず原因となる病気を治療します。原因となる病気が治っても、硝子体の混濁がとれるまでには1年以上かかる場合もあります。
網膜剥離や網膜に穴があいて起こる場合には、光凝固などの手術を必要とします。ぶどう膜炎や硝子体出血などで強い硝子体混濁が起これば手術しますが、視力障害を残す場合もあります。

アレルギー性結膜炎とは?

体に異物が侵入したときに、防御反応が必要以上にはたらくことをアレルギー反応といいます。アレルギー性結膜炎は、このアレルギー反応によって起こる結膜の炎症のことをいいます。

結膜やまぶたの急なかゆみが特徴です

アレルギー性結膜炎の原因
アレルギーを起こす物質をアレルゲンといいます。アレルゲンはスギ科やイネ科などの花粉、ダニやハウスダスト、ペットの毛などですが、花粉がアレルゲンの場合を季節性アレルギー性結膜炎(花粉症)、ダニやハウスダストが原因のものを通年制アレルギー性結膜炎といいます。
コンタクトレンズの装着や薬剤の使用で起こることもあり、涙が減少すると起こりやすくなります。

アレルギー性結膜炎の症状
結膜やまぶたが急にかゆくなり、こすると赤くなったり、痛みが出たりします。
異物感、目やに、涙、結膜の浮腫、発赤が起こりますが、症状は重くありません。また、鼻水、鼻づまり、くしゃみなどが起こります。

アレルギー性結膜炎の治療
抗炎症薬、抗アレルギー薬、ステロイド約の点眼などで治療します。
日常生活では、アレルゲンを避けることが第一ですので、できるかぎり室内を清潔にして、花粉やハウスダストなどがたまらないようにします。
花粉症の人は外出時には眼鏡やマスクを付き、帰宅した時は衣服をはたいたり、顔や目、髪を洗うなどを心がけましょう。

ぶどう膜炎とは?

ぶどう膜は、虹彩、毛様体、脈絡膜の総称で、虹彩と毛様体に炎症が起こるものを虹彩炎(前部ぶどう膜炎)、脈絡膜に炎症が起こる場合を脈絡膜炎(後部ぶどう膜炎)といいます。
結核、梅毒、トキソプラズマ、ウイルスなどの感染症、アレルギー、外傷、サルコイドーシス糖尿病、痛風、原田病、ベーチェット病などが原因です。
日本ではベーチェット病の眼症状としてぶどう膜炎をみる頻度が高いといわれています。症状が重いと緑内障白内障に進行して、失明する危険もあります。

サルコイドーシスの眼症状としてのぶどう膜炎

ぶどう膜炎の症状
網膜や硝子体などに濁りがでて、眼のかすみや飛蚊症(目の前に糸くずや蚊のようなものが飛んで見える状態)がでる、明かりの周囲に虹がかかったように見える、黒目のまわりが赤くなる、眼が痛むなどの症状が現れます。また、網膜剥離や視神経の炎症が起きる場合もあります。

ぶどう膜炎の治療
全身的な病気の結果として引き起こされた場合は、治療はその病気を治すことと、局所的な症状を和らげることの2本立てになるのが普通です。局所的な対処法としては、副腎皮質ステロイドなどの、抗炎症薬を点眼あるいは、内服して症状を鎮めます。

また、虹彩が炎症によって周囲の組織と癒着してしまう危険があるので、これを避けるため、アトロピンなど瞳孔を開かせる薬を点眼する処置も行います。

白内障とは?

白内障とは、瞳孔にある水晶体に濁りが生じて、視力が低下してくる病気です。
生まれつき水晶体がにごっている先天性、加齢とともに水晶体が変性して白濁する老人性、怪我などがもとで水晶体が濁る外傷性の3つに大別されます。そのほか、副腎皮質ステロイドなどを長期利用した場合の副作用や、糖尿病の合併症として起こりやすいことが知られています。

このように白っぽくかすんで見えます

白内障の症状
水晶体には血管も神経も通っていないので、痛みやはれ、充血などの症状が現れません。そのため、視力にはっきりと障害が出てくるまでは、なかなか病気の進行に気づかないことも多いようです。
濁りが生じるといっても、わずかな混濁はむしろ自然な状態でもあり、高齢者ならば誰にでも見られることで、視力への影響はほとんどありません。この小さな濁りが次第に数を増し、集合してひろがりはじめると、やがて視力が低下し、水晶体の白濁が外からもわかるようになります。

自覚症状としては、初期のうちは視力の衰えよりも、明るいところに急に出ると著しくまぶしさを感じる、といったところからはじまり、これが進行すると目がかすむとか、明るい戸外へ出るとしばらく目が見えなくなるといった状態になって、やがて視力が衰え、最終的には明るいくらいを感じ取れるだけになります。

白内障の治療
進行を予防するためには、抗酸化剤の点眼などを行ないます。進行した場合は、混濁した水晶体の外側の袋を残したまま、小さな切開から中身だけを吸引して除去し、折りたたんだ眼内レンズ(人工水晶体)を挿入する手術を行ないます。

白内障の手術時間は局所麻酔で10〜30分ほどです。最近では日帰りで受けられるケースも増えています。手術直後は充血、目やになどの症状があるが、1〜2週間ぐらいでなくなります。
眼内レンズは水晶体のようにピントを調節する機能はないため、手術後に眼鏡で調節する場合もあります。

緑内障とは?

緑内障とは、眼球の内圧(眼圧)が異常に高くなるか、その眼に適当な眼圧以上の値になって、視神経が圧迫されて障害を起こし、視野が狭くなったり、視力が低下してくる病気です。
緑内障には急性と慢性があります。多くは慢性で40歳以上の17人に1人が緑内障という調査結果があります。症状が徐々に進行することに加え、普段は両目でものを見えているために、片目の視野に60%の欠損がみられて初めて緑内障に気がつく人もいるほどです。
急性の場合は、頭痛や眼痛、視力の低下、吐き気などが急激に現れ、すぐに手術をしないと失明する恐れがあります。

視野の欠損が起こります

緑内障の原因
大きく分けて、原発性、続発性、先天性があります。
最も多いのは、慢性で原発性の緑内障で、眼圧を一定に保っている房水という液体の流れが妨げられ、眼圧が高くなったために、視神経が圧迫されて起こります。
続発性の緑内障は、ぶどう膜炎などの目の病気が原因で、房水の流れが障害されて起こります。
先天性の緑内障は、房水が目の外へ排出される隅角という場所に生まれつきの形体異常があって起こります。

急性の緑内障は、隅角がふさがって房水の流れが妨げられることが原因で起こります(閉塞隅角緑内障)。また近年、眼圧は正常なのに視神経が障害される正常眼圧緑内障が多いことがわかってきました。家族に緑内障患者がいる人、高血圧・糖尿病がある人に起こる確率が高いとされています。

緑内障の診断
眼圧検査や眼底検査、視野検査などが行われます。ただし、急性緑内障は自覚症状や目の充血、角膜の濁りなどから容易に診断できます。慢性緑内障は視野の精密検査をするとともに、時間を変えて何度も眼圧を検査して、1日の変動を把握することが必要となります。

緑内障の治療
急性緑内障は、点眼薬や注射、内服薬などを用いて眼圧を下げてから、房水の流れをよくするためのレーザー治療を行ないます。慢性緑内障の場合は、点眼薬とレーザーや手術で眼圧を下げるようにします。

緑内障にかかると失った視神経を回復させることは不可能です。治療は眼圧を正常範囲に下げることで、視野欠損を最小限にとどめることを主に考えます。

中心性網脈絡膜症とは?

網膜に塩素湯が起こって、視力やものの見え方に障害をきたす病気です。
網膜というのは、眼球の奥のほうにある膜で、水晶体というレンズを通して入ってきた光がこの網膜上に像を結びます。カメラでいえばフィルムに当たる部分ですから、ここに異常があると正しい像が得られず、ものの見え方がおかしくなります。

網膜の中心に浮腫が見えます

中心性網脈絡膜症の原因
網膜の中心にある黄斑部がむくんで腫れるものですが、むくみの原因は、脈絡膜から血漿の一部が漏れてしまうことです。何故このような現象が起きるかははっきりしませんが、心身の過労や睡眠不足などがひとつの要因だと考えられています。

中心性網脈絡膜症の治療
薬物療法、手術療法が行われます。手術にはレーザー光線やキセノン光線を使って網膜を焼き付ける光凝固という方法があります。

黄斑変性症とは?

黄斑変性症とは、視力が低下して、ものゆがんで見えたり、視野の中心部分が暗く見えたりする病気です。進行すると中心部は全く見えなくなってしまいます。先天性のものと老化によるものに分かれますが、老化によるものは加齢黄斑変性症と呼ばれるもので、黄斑部の網膜の下の脈絡膜から血管が出てきて、ときに出血します。

黄斑変性症

黄斑変性症の原因
網膜の中心部は黄斑とよばれ、ものを見るときに最も大切な働きをします。この黄斑の働きによって私達は良い視力を維持したり、色の判別を行ったりします。

黄斑変性症は、網膜の中央にある黄斑部の、視細胞が機能低下を起こすものです。
萎縮方と血管新生型に大別できます。症例として多いのは萎縮型で、このタイプは、網膜色素上皮細胞が衰えて萎縮し、さらに老廃物がたまってその部分を傷つけることで生じるものです。

血管新生型は、脈絡膜から発生した余分な血管(新生血管)が、網膜の下で出血し、浮腫などを起こすもので、思い視力障害の原因になります。

黄斑変性症の治療
眼底検査を行なって病気のタイプを特定します。ただし、萎縮型には決定的な治療法がないのが現状です。新生血管が中心窩外にあればレーザー光凝固をおこないます。
中心窩にとても近い場合には新生血管を抜去する方法もあります。中心窩に及んでいる場合には、最近は光線力学的療法が行われます。

網膜剥離とは?

網膜の膜の構造は二重になっています。硝子体の側にある神経層と、脳の側にある色素上皮細胞層が組み合わされています。この神経層が色素上皮細胞層と離れてしまって硝子体の中に入り込んでしまうものが網膜剥離です。

白い部分が剥がれた網膜です

網膜剥離が起こると、その部分の視細胞は色素上皮細胞から栄養をうけることができなくなり、機能が著しく低下します。視細胞そのものにはもとに戻る再生力があるので、網膜が元どおりの状態に回復すれば機能が戻ります。

突発性に起こる場合と、外傷やぶどう膜炎、妊娠中毒症、糖尿病などの病気に引き続いて起こる場合とがあります。突発性の場合は、禁止のことが多いとされています。
突発性のものはできるだけ早く手術しなければなりません。特に急に視力が低下したときは、急いで受診しなければならない危険な病気です。

「キャプテン翼」に出てくるロベルト(大空翼の恩師・ロベルト本郷)がこの病気を患っていたので、昭和50年代生まれの方は、かなり小さい頃からこの病気を知っていたと思われます(笑)。

網膜剥離の症状
初期症状の一つは、飛蚊症の一種でもあり、目の前に虫やごみに見えるものがちらつくように感じます。閃光とかちらちらする光など、実際には存在しない光が視界に走るようにもなることもあります。内部的にみると、これらは網膜に穴が開いてきた時期に相当します。

さらに病気が進んで網膜の剥離が始まると、剥がれた分だけ視界に膜かカーテンがかかったようになり、視野の一部が見えない状態になってしまいます。視力の低下も起こってきて、放置すると失明にいたります。初期症状をあまり意識せず、あるとき不意に視野が欠け視力が落ちて驚く、という経過をたどる人も少なくありません。

網膜剥離の治療
軽度の場合は、レーザー光線で孔のまわりを焼き固めます。進行している場合は入院しての手術が必要となります。手術には、眼球の外から治す経強膜法(バックリング)か硝子体手術がありますが、最近は硝子体手術の割合が増えてきています。
硝子体手術による方法は、硝子体を完全に切除したのち眼内を空気におきかえ、網膜裂孔をレーザー光凝固あるいは眼外から冷凍凝固します。

一般に手術の前後は一定期間の安静が必要です。また他眼にも同様な変化が起こることが多いので、必ず他眼を調べて網膜の穴などがあったら、光凝固で処置して、網膜剥離の発生を予防することが大切です。

なお、はがれたまま放置すると、網膜に栄養が行き渡らなくなり、手術をしても回復が見込めない場合もあります。

糖尿病性網膜症とは?

糖尿病性網膜症とは、糖尿病の3大合併症の一つで、目のフィルムにあたる網膜の血管に障害が起こる病気です。初期の頃には自覚症状はほとんどありませんが、症状が進むに連れて目の前に蚊が飛んでいるような感じがします。
また、網膜の血管に大量の出血があると目の前が真っ赤になったと感じることがあります。
このほか、視野が欠けていると感じることがあったり、最悪の事態では失明することもあります。

進行すると視野欠損につながります

糖尿病性網膜症の原因
糖尿病により血管の障害が原因です。糖尿病になると網膜の毛細血管がもろくなり、出血や血栓(血の塊)ができやすくなります。血管に出血や血栓があると、そこから先の網膜には血液の流れが悪くなります。

血液には各組織に酸素や栄養を運ぶはたらきがありますから、血液の流れが悪くなった網膜は酸素や栄養の不足状態におちいります。このとき、その不足を補おうとして新しい血管(新生血管)ができますが、この血管は非常にもろいため、出血を起こしたり、血液の水分が漏れ出したりしてしまうのです。
それによって飛蚊症や視力低下を起こしますが、さらに出血を繰り返すと、網膜上に増殖組織が生まれて網膜を無理矢理引っ張り、網膜剥離の原因にもなります。

糖尿病性網膜症の症状
初期の段階ではとくに自覚症状はありませんが、進行すると黄斑部に異常をきたし、ものがゆがんで見えたり、ぼんやりと見えるようになります。重症化すると失明に至ります。

糖尿病性網膜症の治療
糖尿病を早いうちに発見して、医師の適切な治療と指示を受けることが大切です。
早い時期に治療を開始しないと、視力を元に戻すことはできません。食事療法や運動療法などで血圧や血糖を正常にしましょう。

もしも糖尿病であることがわかったら、定期的な眼底検査を受け、光凝固(病巣にレーザー光線を当て、その部分を凝固させて病変を軽くする)などの処置を受けます。
また、内服薬の飲みすぎやインスリン注射によって低血糖になると、網膜症を悪化させることにもなるので、糖尿病の治療は医師の指示によって正しくするように心がけましょう。

網膜色素変性症とは?

網膜色素変性症は、眼底に位置する網膜の細胞が、徐々に萎縮して、視力や視野の障害が進行していく難病です。日本には推定約4万人の患者がいるといわれており、詳しい原因がまだわかっていないため、有効な治療法はまだ確立されていません。

眼底検査で見ると黒い色素斑が現れます

進行性の病気で、網膜の視細胞が侵されていきます。ほぼ両方の目に起こるもので、視野が少しずつ狭くなり、長い経過をたどって視力低下が起こってきます。
視力を失うこともありますが、個人差があるため、70歳を過ぎてもちゃんと見えている人もいます。

網膜色素変性症の症状
最初の徴候として現れやすい症状が「夜盲」です。夜や暗い場所で、ものが見えにくくなる状態をいいます。視野に異常が生じ始めていると、次のような症状がみられます。

  • 暗いところや夜にものが見えにくい
  • 車のライトや日の光がまぶしい
  • 視界がいつもチラチラする
  • 歩いていて物にぶつかりやすい
  • 視野の一部が欠けて見えない

ただ、症状の現れ方は一定ではありません。視野狭窄も、周囲から見えなくなる場合や、島のように見えない部分が点在するなどさまざまです。
進行の仕方が遅いのも特徴で、発症して40年くらいたっても、0.2位の視力を保っている人も大勢います。高齢になってから急に視野狭窄が進行していることがわかるケースも多いようです。

網膜色素変性症の治療
日常的には強い光を避けることが、進行を遅らせることにつながります。外では必ず「遮光眼鏡」を着用することが大切です。根本的な治療法は残念ながらまだ見つかっていません。
対症療法として、暗順応改善薬(暗いところに慣れやすくする)や網膜循環改善薬(網膜の血流をよくする)、ビタミン剤などが処方されます。

網膜色素変性症では、白内障緑内障を併発することがありますが、その治療のための手術は、網膜の状態によって決めます。定期検査を受け、日常の注意を守って治療を進めれば視力も十分維持できる例も多く、失明につながる重症例ばかりではありません。

視神経炎とは?

視神経に炎症が起きて、視力が急激に低下し、視野の中心部が見えにくくなる病気です。視神経は眼底から脳へと伸びて、目から入った情報を脳へ伝える役割を果たしています。ここに炎症が起きると、網膜に映った像は正常でも、そこから脳へ伝達される間に異常があるので、結果的に視力障害をきたします。

適切な治療により視力は回復します

炎症が起きる原因はさまざまで、原因不明のことも少なくありません。鼻、扁桃腺、歯などの病気から感染してしまうケースや梅毒、肺結核多発性硬化症、ビタミンB1欠乏症などの病気から二次的に引き起こされるケースがあるほか、事故による頭の強打、薬物の影響などでも、視神経に炎症や萎縮が起きることがあります。

視神経炎の症状
視力が急激に低下します。視力障害が起こる1〜2日前に、目の奥に痛みを感じることがよくあります。なかには、1〜2日で視力が低下し、両目が真っ暗になってしまう場合もあります。
ただし、片目だけに症状が現れた場合は、もう一方の目でほとんどのものが見えるので、視力低下に気づかないこともあります。

大部分は、視力が低下してから1〜4週間で回復し始め、ゆっくりと正常または正常知覚にまで戻ります。視野に変化が出たり、中心や周辺が見えなくなったりすることもあります。

視神経炎の治療
明らかな原因疾患があればその治療を行い、そのほかは、安静と保存療法を行うことでかなり回復します。重症の場合は、副腎皮質ステロイド薬とビタミンB1、ビタミンB2を点滴などで全身投与しますが、ステロイドの副作用もあるので、医師の指示に従うことが大切です。

翼状片とは?

翼状片とは、目頭側の結膜から角膜にかけて、赤みを帯びて盛り上がった膜が広がってくる病気です。三角形で翼のように見えることからこの名があります。50歳以降の中高齢者に多くみられます。

翼状片

最初はあまり気になりませんが、疲労が重なるとゴロゴロした感じがします。翼状片が広がって瞳孔まで覆うと、視力が低下することがあります。
また、目の外傷や熱傷、化学眼外傷、角膜潰瘍などの回復過程で、翼状片に似た病状が出現することがあります。これを偽翼状片と呼びます。治療は翼状片に準じて行われます。

翼状片の原因
紫外線を長年浴び続けていたり、ゴミや煤煙などが目に入りやすい環境にいるとかかりやすくなります。

翼状片の治療
翼状片自体は悪性の組織ではなく、症状がなければ放置しても問題はないのですが、充血や異物感が強くなってくれば点眼などの治療を行います。

翼の部分が伸びすぎると視力に障害がおきますから、手術をして取り除きますが、初期のうちに手術すると極めて再発しやすくなりますので厄介です。再発のたびに手術すると、球結膜が足りなくなって目に障害を起こす場合もあります。
また、再発しやすい病気ですので、手術をしてからも薬などで予防していきます。