気になる病気と症状辞典

血液の病気のリスト

血液の病気は、全身の倦怠感、息切れ、体重減少、出血、めまい、発熱などといった、体のどの部分の疾患にもあてはまるような症状が主であるために、あいまいで特徴に乏しい傾向があります。
そのためこれらの症状の一つが現れただけでは、血液の病気かどうかは明確にできませんが、複数の症状が同時に現れた場合は、血液の病気の可能性が高くなります。

多くの場合、血球の減少が関係しています

ほとんどの場合、赤血球数や白血球数、血小板数などの血球の減少が関係しています。例えば、めまいや息切れがある場合は赤血球数の減少からくる貧血、出血や青あざが生じやすい場合は血小板数の減少が生じている可能性があります。

  • 鉄欠乏性貧血…鉄分が不足し、ヘモグロビンが十分につくられないために起こります。
  • 巨赤芽球性貧血…赤血球のもとになる赤芽球が赤血球に発育しないために発症します。
  • 再生不良性貧血…骨髄の働きが低下し、赤血球などが十分に産生されなくなる病気です。
  • 溶血性貧血…赤血球が通常の寿命を待たず、早く破壊されて生じる貧血の総称です。
  • 続発性貧血…骨髄や赤血球の異常ではなく、各種の病気が原因となって起こる貧血です。
  • 多血症…貧血とは逆に赤血球数が異常に多くなる病気です。
  • 骨髄線維症…骨髄に線維が増えて、造血機能の低下が起きる病気です。
  • 急性白血病…正常な白血球が作られなくなる一方、発育不全の異常細胞ががん化します。
  • 多発性骨髄腫…がん化した形質細胞が骨髄内で、周りの骨を破壊しながら増殖します。
  • 悪性リンパ腫…悪性リンパ腫には、細胞肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病などが含まれます。
  • 血友病…第8、第9の血液凝固因子のいずれかが欠けて、出血しやすくなる病気です。

血友病

血液中には、12種類の血液凝固因子が発見されています。この因子は止血には欠かせない物質ですが、そのうち第8、第9の因子のどちらかがかけているために出血しやすくなり、しかも止血しにくくなる病気です。遺伝性の病気で男子に発症します。消化管や中枢神経から出血が起こると生命にかかわります。

血友病はA、B、Cの3つのタイプがあります

血友病の症状
ちょっとした怪我でも出血してなかなか止まらない、軽い打撲でも皮下出血を起こし、青あざや血腫ができる、内臓の出血や関節の出血がしばしばみられる、脚やひじなどの関節の出血を繰り返して、間接が変形したりするなどの特徴があります。

血友病の治療
根本的な治療法はなく、一生つきあっていかなければならない病気なので、日常生活において外傷や打撲を受けないように注意することが大切です。
しかし、出血そのものは、欠乏している凝固因子の注射を受ければ簡単に止まりますし、本人が必要に応じて自分で注射することも出来るようになっています。現在は遺伝子組み換え型の凝固因子が使用されており、以前のようなウイルス感染の危険はなくなりました。

鉄欠乏性貧血

貧血のなかで最も多いものです。ヘモグロビンの成分はたんぱく質と鉄ですが、体内の鉄分が不足してくると、ヘモグロビンがつくれなくなり、貧血が起こります。健康な人の場合、鉄は体内に3000〜4000mgあります。このうち血液中を流れる赤血球のヘモグロビンの量はその約65%です。

赤血球が不足します

鉄は体内で作れませんから食べ物で供給しなくてはなりません。ですから出血が続いたり、鉄の供給が不足した状態が続くと貧血が起こってきます。とくに女性の場合は月経時に大量の鉄を失いますし、妊娠中には胎児の発育に大量の鉄が必要であるため、貧血になりやすい状態になります。
また、子宮筋腫過多月経胃潰瘍十二指腸潰瘍などからの出血も、微量で本人が自覚しなくても、長期にわたると貧血につながります。

鉄欠乏性貧血の症状
全身に酸素を運ぶ役目を果たしているヘモグロビンの量が少なくなるので、酸素不足の症状が出てきます。階段を上るときの息切れや動悸を感じやすくなり、全身の倦怠感、耳鳴り、めまいなども現れます。
足がむくんだり、爪がボロボロになったり、さじ状に逆にそりかえる(プラマー・ビンソン症候群)などの症状もみられます。

鉄欠乏性貧血の治療
疾患による出血の場合は、原因疾患の治療を行ないます。貧血の症状は、鉄剤を服用すると改善が見られます。十分な鉄分を補充するためには、鉄剤の服用を2〜3ヶ月続ける必要があります。
また、食生活で、鉄分を多く含む食品(レバー、牛もも肉、卵黄、ほうれん草など)の摂取も心がけます。

巨赤芽球性貧血

赤血球が骨髄で作られる際にはビタミンB12や葉酸が必要となりますが、これらが不足すると、赤血球のもとになる赤芽球が赤血球に発育せず、巨大な巨赤芽球となり、正常な赤血球が減少して貧血になります。

巨赤芽球

ビタミンB12や葉酸の吸収障害や不足が原因でなるケースが大半です。ビタミンB12の吸収障害は胃炎や胃の切除術が原因で起こりやすく、他の病気でビタミンを多く使ってしまう場合には不足します。一方、葉酸の吸収障害は空腸に狭窄や吻合術跡、がんなどがあると生じやすくなります。アルコールの摂取過剰や野菜不足が葉酸の不足の原因となることもあります。

巨赤芽球性貧血の症状
全身の倦怠感や息切れ、動悸などの一般貧血症状のほかに、したが赤くなってヒリヒリとした感じがします。また、吐き気や下痢、胃液の分泌低下などが起きます。
症状がひどくなると神経障害が起こり、下肢の感覚が鈍くなって、歩行困難になります。

巨赤芽球性貧血の治療
ビタミンB12が不足していると内服ではあまり効果がないので、注射で補います。葉酸が不足していれば注射か服用で補給します。また、鉄が不足することが多いので鉄剤を使用します。

再生不良性貧血

再生不良性貧血とは、骨髄の働きが低下し、赤血球をはじめ、白血球や血小板などが十分に産生されなくなる病気です。赤血球の減少によって酸素不足になり、貧血症状が生じます。
また、白血球の減少によって感染が起こったり、血小板の減少により血液が固まりにくく、出血しやすくなります。多くの場合は原因は不明ですが、薬剤や化学物質、放射線、肝炎ウイルスが原因となる二次性再生不良性貧血もあります。
なお、この病気は厚生労働省による難病(特定疾患)に指定されており、認定を受けると治療費は公費負担になります。

骨髄の細胞の様子

再生不良性貧血の症状
全身の倦怠感や息切れ、動悸などの一般的な貧血症状のほか、鼻や歯茎からの出血、過多月経などを起こしやすくなります。また、注射の後に出血がなかなか止まらないこともあります。

再生不良性貧血の診断
血球数(赤血球、白血球、血小板、網状赤血球)を調べる血液検査を行ない、汎血球減少(全ての血球が減少すること)が認められ、また骨髄穿刺と骨髄生検によって、骨髄の細胞密度が低いことが確認されれば、再生不良性貧血と診断されます。

再生不良性貧血の治療
輸血をし、抗生物質や、副腎皮質ホルモン剤、たんぱく同化ホルモン剤を使います。急激に発症した場合には、造血幹細胞移植療法が行われることもあります。
徐々に起こってこることが多く、この場合、良くなったり、悪くなったりします。出血を起こさないように注意し、根気よく治療を続ければ、普通に日常生活を送ることができます。

溶血性貧血

生まれつき赤血球に欠陥があったり、自己免疫のために赤血球が多量に壊れて溶けてしまうために起こる貧血のことです。だるい、息切れ、動悸など、貧血の症状のほかに、黄疸、発熱、腹痛が起きたり、尿が茶褐色になったり、胆石が発生したり、秘蔵が腫れたりします。

溶血性貧血

病気の種類も多岐にわたり、原因もさまざまですが、先天性の遺伝性球状赤血球症と後天性の自己免疫性溶血性貧血に大別できます。

遺伝性球状赤血球症
赤血球膜を構成するタンパクに先天的な異常があって、赤血球内に血漿成分が浸透し、赤血球が破壊されてしまう病気です。一般的な貧血症状のほか、脾腫による左上腹部の痛み、高熱、黄疸、胆石症の合併などがみられます。発症のきっかけは疲労や風邪、薬の副作用などです。

自己免疫性溶血性貧血
全ての溶血性貧血の中で最も頻度の高い病気で、厚生労働省による難病(特定疾患)の指定を受けています。赤血球の膜上にある抗原に対する自己抗体がつくられ、それを標的として免疫作用がはたらくことで、赤血球が攻撃を受け破壊されてしまいます。

だるさ、息切れなど一般的な貧血症状のほか、軽度の黄疸が現れる場合もあります。
長期化すると脾臓が大きくなったり、腹部膨満感や不快感を覚えるようになります。

溶血性貧血の検査
赤血球数、網状赤血球数、ヘモグロビンなどの血液検査で貧血を確認して、間接ビリルビンや乳酸脱水素酵素(LDH)の上昇も認められれば、溶血が強く疑われます。また、免疫が関与しているか調べるクームス試験など検査を行って貧血の種類を調べていきます。

溶血性貧血の治療
先天性の遺伝性球状赤血球症の場合、赤血球は脾臓で破壊されるので脾臓の摘出手術を行ないますが、症状が軽度の場合は経過観察をします。一方、後発性の自己免疫性溶血性貧血の場合は、根本的な治療は困難なので、副腎皮質ホルモン剤や免疫抑制剤を使用する対症療法が行われます。

骨髄線維症

血液を作るのが骨髄ですが、その骨髄に線維が増えて、赤血球の産生量が減ったり、未成熟の血球が作られるなどの造血機能の低下が起きる病気を骨髄線維症といいます。
原因不明の突発性のものと、白血病や悪性リンパ腫などの病気にともなって骨髄の線維化が起こる続発性のものがあります。この病気は厚生労働省の難病指定(特定疾患)を受けています。

骨髄の線維化が起こります

骨髄線維症の症状
貧血症状が現れるほか、脾腫(脾臓の腫れ)、それにともなう左上腹部の張りや痛みを覚えるようになります。病状はゆっくりと進行しますが、患者の1割は急激に悪化し、白血病などに移行します。

骨髄線維症の診断
貧血があり、顕微鏡検査で血液中に異常な形の未成熟赤血球がみられる場合は、骨髄線維症が疑われますが、診断を確定するには骨髄穿刺を行う必要があります

骨髄線維症の治療
続発性の場合は、基礎疾患の治療を優先します。貧血や血小板減少が著しければ、成分輸血も必要です。脾腫による圧迫感や痛みがある場合は、脾臓の摘出が必要な場合もあります。
薬物療法としては、タンパク同化ホルモンや抗腫瘍剤であるメルファラン、サリドマイドなどの有効性が報告されています。

急性白血病

急性白血病とは、血球のもとになる細胞の発育が悪いために、正常な白血球がつくられなくなる一方、発育不全の異常細胞ががん化して増殖する病気です。
増殖する細胞の種類によって急性骨髄性白血病と急性リンパ性白血病に分けられます。

急性白血病

成人の急性白血病の80%は骨髄性です。2005年に夭折されたミュージカル歌手の本田美奈子さんもこの急性骨髄性白血病と闘っておられました。AC公共広告機構のCMが流れるたびに、彼女のことを思い出す方も多いと思います。小児の場合はほとんどがリンパ性となっています。

急性白血病の症状
発症はたいてい急激に起こりますが、長い期間、貧血や出血症状を煩っていた人に起こることもあります。代表的な症状は、体の倦怠感、顔色が悪い、紫斑、消化管、眼底、泌尿器、鼻腔、歯茎などからの出血などがあげられます。

この病気では、白血球は多くても、成熟した、食菌作用などを持つ白血球は減少するので、感染症(特に呼吸器や泌尿器)や原因不明の発熱などを起こしやすく、また、骨髄の中で病的な細胞が著しい増殖をはじめるため、骨の痛みを訴えることもあります。

急性白血病の治療
骨髄性、リンパ性とも、通常は副腎皮質ステロイド剤や各種抗がん剤を組み合わせた化学療法を行ないます。白血病細胞が脳や脊髄に浸潤している場合は、放射線療法が行なわれることもあります。

また、最近では造血幹細胞移植(HLA適合近親者からの移植)のほか、同種(自己)抹消血幹細胞・臍帯血(さいたいけつ)幹細胞の移植も行なわれ、こうした治療法が効果をあげると、急性白血病でも治癒したと考えられる症例も出てきました。

急性白血病の治療中にしばしばみられる骨髄無形成期に、成長因子の併用により、正常骨髄の回復を促す方法が効果をあげています。

多発性骨髄腫

骨髄の中には白血球の一種である形質細胞があって免疫の抗体を作り出していますが、この形質細胞ががん化すると骨髄腫細胞と呼ばれるものになり、無制限に増殖します。
そうなると正常な抗体を減少させて感染しやすくなり、骨髄で作られる血液も減少してしまいます。

多発性骨髄腫

多発性骨髄腫の症状
がん化した形質細胞が骨髄内で、周りの骨を破壊しながら増殖するため、背中や腰に痛みがあったり、わずかな力を加えただけで骨折(とくに胸椎や腰椎の圧迫骨折)が起きやすくなります。
そのほか、造血機能に障害が生じて、倦怠感や動悸などの貧血症状が現れたり、出血がおきやすくなったり、原因不明の発熱もみられます。

多発性骨髄腫の診断
骨髄検査により骨髄中に10%異常の形質細胞が確認され、抹消血(静脈血)中に500/ml以上の形質細胞があり、さらに血液中にMたん白、高度の骨粗しょう症、多量の尿たん白などがあると、多発性骨髄腫と診断されます。
また、全身骨シンチグラフィーによって疾患部位の判定が行われます。

多発性骨髄腫の治療
抗悪性腫瘍薬を用いた化学療法のほか、腫瘍が局部の場合は放射線療法が用いられます。
形質細胞腫の腫瘍が狭い範囲に限られているときや脾腫があるときは、手術で摘出します。
完全な治癒は難しいですが、適切な治療を行なえば、長期にわたり、普通の生活を送ることができます。

悪性リンパ腫

リンパ組織は身体に入る異物を排除する働きますをしますが、このリンパ組織を構成しているリンパ節、脾臓、扁桃などの細胞が悪性のものになって、無制限に増殖するものが悪性リンパ腫です。白血病と並んで、代表的な血液のがんです。
悪性リンパ腫には、細胞肉腫、リンパ肉腫、ホジキン病などが含まれます。

悪性リンパ腫の原因
一部のリンパ腫にはウイルスが関係している場合があることがわかっています。
また、慢性甲状腺炎や結核性胸膜炎などのあとにも発症することがあり、慢性的な炎症による刺激も原因のひとつと考えられています。

悪性リンパ腫の症状
リンパ節のある頚部、脇の下、太もものつけ根などが腫れますが、通常は痛みはありません。
全身にがんが広がると発熱や体重減少、寝汗、倦怠感などの症状が現れてきます。

悪性リンパ腫の診断
首筋や足の付け根のリンパ節が腫れてきますが、それらのリンパ節を切除して組織検査を行なって診断を確定します。また、病変の範囲を調べるために、骨のX線検査やCT検査、超音波検査、骨髄検査などを行ないます。

悪性リンパ腫の治療
転移(がん細胞がほかの臓器に移って、そこでも増殖すること)がない場合は、放射線療法を中心に行ないます。全身に転移がみられる場合は、抗がん剤などを用いた化学療法を行ないます。
悪性の病気で治療後の経過ははかばかしくありませんが、悪性度や治療開始時期によっては、治癒の可能性も十分にあります。


 
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